研究課題
特別研究員奨励費
本研究目的は、気象現象が大気波動を励起させることで熱圏/電離圏がどのような影響を受けるのかを明らかにすることである。最新のモデル(WACCM-X)及び衛星・地上観測(GNSS-TEC, CIPS/AIMなど)を用いて、熱圏/電離圏に存在する大気重力波の励起源・伝播過程の理解を目指す。特に、電離圏擾乱を引き起こす大気重力波の波源について理解を深めることを目指す。
該当年度では、2022年の米国上空における成層圏同心大気重力波と同心型の電離圏擾乱の同時発生イベントの分布を調査しました。成層圏の観測にはAIRSを、電離圏擾乱の観測にはGNSS-TEC観測を用いました。観測から得られた発生分布と対流圏の天候条件(有効対流位置エネルギーおよび対流圏/成層圏ジェット気流)とも比較を行いました。その結果、夏季には中央東部米国(約60-110°W)や春および秋には米国南部(約40°Nの南)で有効対流位置エネルギーが高い位置と大気重力波と電離圏擾乱の発生域が対応していました。冬季では米国北部(約40°Nの北)で対流圏ジェットの位置に対応していました。これらの結果は、米国中部から東部の同心円大気重力波及び同心円電離圏擾乱は、春から秋にかけては太陽加熱によって生じた対流が、秋から春にかけては対流圏ジェットに関連する寒冷前線内の対流が励起源であると考えられます。
3: やや遅れている
現在、2本の論文を投稿・執筆しているが、これらは当該年度に出版する予定であった。このため、やや遅れていると言える。ただし、解析の方は順調に進んでいる。
引き続き、2本の論文出版を最優先に研究を進めていく。今後の研究としては、これまでシミュレーションによって示されてきた、寒冷前線に伴う対流活動によって励起した大気重力波がエバネッセントモードで中層大気を伝播し、下部熱圏で伝播性モードに変化する現象を観測から捉える予定である。
すべて 2023 2022 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 11件、 招待講演 1件)
Geophysical Research Letters
巻: 50 号: 6 ページ: 1-15
10.1029/2023gl102790
Journal of Geophysical Research: Atmospheres
巻: 128 号: 6
10.1029/2022jd037751
Journal of Geophysical Research: Space Physics
巻: 127 号: 9 ページ: 1-14
10.1029/2022ja030643