研究開始時の研究の概要 |
本研究は、文派生の単位であると考えられているフェイズ (e.g., Chomsky (2000))の決定要因を追求していく。特に、未指定phi素性がフェイズの決定要因であるという仮説 (e.g., Chomsky (2008, 2015, 2020), Kanno (2008), Saito (2017))に着目し、何がフェイズを決定するのかに関して通言語的に研究を行う。また、言語現象に対してフェイズに基づいた説明を試みる。
|
研究実績の概要 |
フェイズ (e.g. Chomsky (2000))に関して、主に下記のような研究を行なった。 1. Yoshimura (1992), Chomsky (2008), Kanno (2008), Saito (1992, 2017), Goto (2017), Sakumoto (2022)等の考えをもとに、日本語の長距離スクランブリング (JLDS) をフェイズの観点から分析した。Takano (2009)等では、JLDSはweak crossover effectを示すと議論されているが、調査等を行い、その主張に対して反論し、Yoshimura (1992)等による研究を支持した。他の分析 (e.g. Goto (2017))や関連現象 (e.g. Ura (1994))に関しても考察や検討を行なった。 2. DPがフェイズに関する先行研究 (e.g., 大庭 (1999))の妥当性、問題点等を調査、検討した。 3. 以前に発表を行なったものをもとに、英語のv(*)Pがフェイズを形成していないという仮説 (e.g. Keine (2016), Hasegawa (2014))を支持する論文を完成させた (cf. Chomsky (2000, 2001), Legate (2003))。 4. 日本語のwh島 (e.g. Ross (1967), Watanabe (1992), Kitagawa (2005))に関して、先行研究(e.g. Tsai (1999))を再考し、島に関して(e.g. Nishigauchi (1990), Richards (2000))調査、考察を行なった。 5. Sakumoto (2024)等に基づき、コントロールとスクランブリング (e.g. Nemoto (1993), Takano (2010))に関して発表する予定である。
|