研究課題
特別研究員奨励費
本研究では、発光性希土類錯体のEL素子への応用に向けた発光機構解明を目的とし、時間分解発光分光測定と過渡吸収分光測定を用いてホストゲスト薄膜の発光機構解明に取り組んだ。Eu(III)錯体をゲスト分子として用いたホストゲスト薄膜について、従来のEu(III)錯体の発光強度の400倍かつ高効率発光を得ることに成功し、その発光機構の詳細を明らかにした。この結果から、Eu(III)錯体をドープしたホストゲスト薄膜について、ホスト分子の選択指針を提案することに成功した。
三価希土類錯体は高色純度発行を示すことから、有機電界発光(EL)素子としての応用が期待されている。有機EL素子への応用に向けた開発が進められている一方、素子状態において理想的な発光効率が得られておらず、その具体的な原因は明らかになっていない。本研究では、時間分解発光分光法(TR-PL)、時間分解過渡吸収分光法(TAS)を用いて希土類錯体の溶液・薄膜中における発光機構解明に取り組み、有機EL素子への応用を目指している。EL素子の発光層状態であるホストゲスト薄膜に着目し、三価ユウロピウム(Eu(III))錯体をドープしたホストゲスト薄膜を作成し、ホスト分子の適切な選択により高効率・強発光を達成した。この機構をTR-PL、TASにより明らかにした。この成果についてはChemical Scienceに投稿し、公開されている。さらに、Eu(III)錯体単体における詳細な発光機構解明にも取り組んだ。TR-PLとTASを組み合わせることで、これまで明らかになっていなかったEu(III)錯体における配位子からEu(III)へのエネルギー移動の経路とその収率を明らかにした。この成果について、現在査読誌に投稿中である。さらに、異なる配位子をもつEu(III)錯体におけるエネルギー移動機構、中心金属を変えた希土類錯体における配位子内項間交差機構、についても考察を行っており、この結果の詳細については次年度中に論文として報告する予定である。またこれまでの研究成果についてFaraday Discussionにてポスター発表を行った。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件)
Chemical Science
巻: 14 号: 25 ページ: 6867-6875
10.1039/d3sc01817b
Advanced Optical Materials
巻: 12 号: 3 ページ: 2301924-2301924
10.1002/adom.202301924
ChemRxiv
巻: -
10.26434/chemrxiv-2022-qpcfh