研究課題/領域番号 |
22KJ2433
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補助金の研究課題番号 |
22J11675 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分41040:農業環境工学および農業情報工学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小野 信太朗 九州大学, 生物資源環境科学府, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 生殖成長 / 数理モデル / イチゴ / データサイエンス / 収量予測 / 光合成 / 温室 / 成熟日数 / 昼寝現象 |
研究開始時の研究の概要 |
イチゴ栽培において,光合成は重要な生理生態反応であり,生殖成長(開花・その後の同化産物の分配・流入による果実肥大など)とも密接関与する.上記の光合成と着果負担(果実を維持するために植物体にかかる負担)を考慮して機構・統計的な生殖成長モデルを構築するために以下の目標に取り組む. ①十分に灌水を行っているイチゴにおいても,環境ストレスによる日中の光合成速度の低下が生じるのかを調査する. ②①の結果を基に光合成をより正確に推定し,開花後積算光合成速度を用いて成熟日数を表現する. ③3年度に渡って得た詳細かつ多量なデータを用いて開花動態モデルを構築後,②の成果を基に拡張することで生殖成長モデルを構築する.
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研究実績の概要 |
イチゴ栽培において,光合成は重要な生理生態機能であり,生殖成長(開花,その後の同化産物の分配・流入による果実肥大,成熟など)と密接関与する.本研究では,温室イチゴの生殖成長動態の普遍的かつ高精度な予測モデルの構築に向けて,各環境要素・個葉光合成速度と生殖成長動態との関係を解析した. まず,一作期を通して取得した各環境要素(光合成光量子束密度PPFD,気温,湿度,CO2濃度,風速),個葉光合成速度,生殖成長動態(開花,収穫)のデータを用いて,収穫日の予測指標として開花後の積算光合成速度の有用性について検証した.そこで,光合成生化学モデル,気孔モデル,葉面ガス拡散モデル,葉面熱収支モデルを組み合わせたモデルを用いて,個葉光合成速度を長期連続取得した.また,個々の果実における開花から収穫までの各指標(PPFD,気温,個葉光合成速度の積算値)のばらつきに基づいて,それらの収穫予測指標としての有用性を統計的に比較した.その結果,個葉光合成速度の積算値が他の指標と比べて有用であることを初めて見出し,収穫予測モデルの構築に寄与する成果を得た. また,各環境要素と個葉光合成速度の履歴が,収穫予測において重要な基礎情報となる開花動態に及ぼす影響について評価した.三作期にわたって取得した第一果房の開花データを,指数関数と正弦関数を組み合わせたMalo modelを用いて回帰分析し,得られた各モデルパラメータ(開花動態を表す波の歪度,尖度)と,環境要素(PPFD,気温,湿度)および個葉光合成速度の履歴との関係を解析した.その結果,歪度には気温と空気飽差が,尖度には気温,空気飽差と個葉光合成速度が強く影響することを初めて明らかにした. 以上,本研究は,膨大かつ正確な環境・生理生態機能の長期連続データを取得・解析し,温室栽培イチゴにおける生殖成長動態の予測モデル構築の基礎を築いた.
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