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なぜ敷石細胞に葉緑体があるのか?敷石細胞葉緑体の独自機能と形成メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ2467
補助金の研究課題番号 22J20905 (2022)
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金 (2023)
補助金 (2022)
応募区分国内
審査区分 小区分44030:植物分子および生理科学関連
研究機関九州大学

研究代表者

小畑 智暉  九州大学, システム生命科学府, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
キーワード敷石葉緑体 / 表皮特異的プロモーター
研究開始時の研究の概要

植物の表皮組織では、気孔の孔辺細胞にのみ葉緑体が存在するという説が一般的である。しかし、近年シロイヌナズナで、気孔を取り囲む表皮(敷石)細胞にも葉緑体が存在することが確認された。また、申請者もタバコ、キク、ハスなど多岐にわたる植物で敷石細胞に葉緑体が存在することを確認した。一方で、なぜ敷石細胞で葉緑体が形成されるのか、敷石細胞葉緑体が保持する独自の機能については不明な点が多い。本研究では、敷石細胞でのみ葉緑体形成が阻害された植物を作出し、植物の生育や環境応答に対する影響を解析することで、敷石細胞葉緑体の機能解明を目指す。

研究実績の概要

本研究では、植物の表皮(敷石)細胞になぜ葉緑体が存在するのか、敷石葉緑体が持つ独自機能を解析することを目的とする。これまでに、葉肉組織の葉緑体形成は正常だが、表皮組織の葉緑体の発達が阻害されたシロイヌナズナ変異体gles1を用いて、敷石葉緑体の欠損によってどのような影響が生じるのか解析を行った。その結果、gles1では、塩ストレス条件下で誘導されるアントシアニンの蓄積が見られず、塩耐性も減少していることが明らかになった。加えて、gles1を孔辺細胞特異的に相補した系統では、この表現型は回復しないが、表皮組織特異的に相補した系統では表現型が回復することも確認した。これらの結果は、塩ストレス環境下でのアントシアニンの合成制御に、表皮組織の中でも敷石葉緑体が必須であることを示している。さらに、表皮組織の葉緑体が塩ストレス環境下でどのようにアントシアニン合成を制御しているのか、そのメカニズムに関しても解析を行った。これまでに、アントシアニン合成制御に寄与することが知られるジャスモン酸の、合成及びシグナル伝達を欠損した変異体で、塩ストレス環境下で促進されるアントシアニンの蓄積が阻害されることを確認した。また、この表現型は表皮特異的にジャスモン酸合成遺伝子を相補すると回復した。これらの結果は、表皮で合成されるジャスモン酸が塩ストレスに応じたアントシアニンの合成促進に重要であることを示唆している。また、gles1で塩ストレスに応じたアントシアニンの合成促進が阻害された理由として、gles1では、表皮組織の葉緑体発達が阻害されているために、ジャスモン酸合成に必要な葉緑体膜脂質が不足しており、アントシアニンの合成を活性化するために十分なジャスモン酸が合成できていない可能性が考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の主目的であった敷石葉緑体の新規機能に関する知見を得ることができた。加えて、敷石葉緑体がどのようにアントシアニン合成に寄与するのか、そのメカニズムに関しても解析が進んでいる。

今後の研究の推進方策

これまでの解析から、シロイヌナズナでは、塩ストレスに応じて表皮組織でジャスモン酸シグナルが活性化することで、アントシアニン合成が促進される可能性が考えられる。現在は、この可能性について検証するために、ジャスモン酸応答性因子のプロモーター制御下でGFPを発現する形質転換植物を利用したレポーターアッセイやジャスモン酸抗体を用いた免疫染色を行っている。これらの解析によって、ジャスモン酸合成、及びそのシグナル活性が塩ストレスに応じて表皮特異的に活性化していることを確認するとともに、gles1が塩ストレス環境下でのアントシアニンを蓄積できない理由がジャスモン酸シグナルを十分に活性化できていないことにあることを示したいと考えている。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] PECT1, a rate‐limiting enzyme in phosphatidylethanolamine biosynthesis, is involved in the regulation of stomatal movement in Arabidopsis2023

    • 著者名/発表者名
      Negi Juntaro、Obata Tomoki、Nishimura Sakura、Song Boseok、Yamagaki Sho、Ono Yuhei、Okabe Makoto、Hoshino Natsumi、Fukatsu Kohei、Tabata Ryo、Yamaguchi Katsushi、Shigenobu Shuji、Yamada Masashi、Hasebe Mitsuyasu、Sawa Shinichiro、Kinoshita Toshinori、Nishida Ikuo、Iba Koh
    • 雑誌名

      The Plant Journal

      巻: - 号: 2 ページ: 563-576

    • DOI

      10.1111/tpj.16245

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 植物組織間で異なる葉緑体脂質代謝バランス2022

    • 著者名/発表者名
      小畑 智暉, 宋 普錫, 祢冝 淳太郎
    • 雑誌名

      化学と生物

      巻: 60 ページ: 630-632

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] Pavement cell chloroplasts: essential to salt stress-induced anthocyanin production in Arabidopsis2024

    • 著者名/発表者名
      小畑 智暉、立花 輝太、王丸 将貴、射場 厚、袮冝 淳太郎
    • 学会等名
      第65回植物生理学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] シロイヌナズナの表皮葉緑体は、塩ストレスに応答したアントシアニンの合成制御に寄与する2023

    • 著者名/発表者名
      小畑 智暉
    • 学会等名
      学術変革領域研究(A)「不均一環境と植物」 第3回若手の会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 表皮葉緑体の機能解析に向けた表皮細胞特異的プロモーターの探索2022

    • 著者名/発表者名
      小畑 智暉 髙橋 宏和 中園 幹生 射場 厚 袮冝 淳太郎
    • 学会等名
      第86回日本植物学会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

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公開日: 2022-04-28   更新日: 2024-12-25  

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