研究課題/領域番号 |
22KJ2471
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補助金の研究課題番号 |
22J21123 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
川邉 陸 九州大学, 薬学府, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 痛み / アストロサイト / 下行性痛覚調節系 / ノルアドレナリン / 脊髄後角 / 青斑核 / 神経 |
研究開始時の研究の概要 |
継続課題のため記入しない。
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研究実績の概要 |
脳の青斑核(LC)から脊髄後角へと投射する下行性ノルアドレナリン(NA)神経は痛覚の調節に重要である。我々はこれまでに、脊髄後角の表層に局在する新規アストロサイトサブセットとして転写因子Hes5陽性アストロサイトを発見した。また、アドレナリンα1A受容体を発現するこのサブセットがNAによって活性化されると痛覚過敏を起こすことを明らかにした。しかし、NAは脊髄後角の神経細胞にも作用して痛覚を調節しており、NAによる痛覚制御メカニズムの全容は不明であった。 本年度は以下の解析を行った。まず、生体内の下行性LC-NA神経が両方向性の痛覚調節を誘導しうるか確かめるため、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いて、下行性LC-NA神経をオプトジェネティクスによって活性化できるマウスを作製した。このマウスの下行性LC-NA神経を弱く活性化した際にはα1A受容体を介した痛覚過敏が生じ、強く活性化した際にはβ1受容体を介した痛覚過敏の消失が起こることを発見した。 また、このような痛覚変調の生理的な役割として、ストレスと痛みの関連に着目した。ストレスとNA系の関連を調べるため、AAVベクターを用いてLC-NA神経に蛍光カルシウムセンサーを発現させたマウスにファイバーフォトメトリー法を適用することで、拘束ストレス処置中のLC-NA神経活動をモニターした。これにより、ストレス処置中にLC-NA神経が活性化することを確認した。次にAAVベクターを用いてLC-NA神経にジフテリア毒素受容体を発現させ、毒素を投与することでLC-NA神経を脱落させた。このマウスに拘束ストレスを与えると、通常のマウスで生じる痛覚過敏が抑制された。加えて、Hes5陽性アストロサイトα1A受容体のノックアウトマウスでも同様にストレス誘発性痛覚過敏が減弱した。これらの結果から、NAによる痛覚変調の生理的役割の一端を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究により、NAを介した両方向性の痛覚変調作用が生体内に備わっていること、また、その生理的役割としてストレス誘発性痛覚過敏を切り口とした研究を進めることができた。これらの成果は学会にて発表したほか、筆頭著者として国際科学誌に投稿準備中であり、順調に研究が進展したと評価している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度に確立した2つの技術、①下行性LC-NA神経を弱く、もしくは強く活性化できる技術②ファイバーフォトメトリー法を用いてLC-NA神経の活動を解析する技術を用いて、ストレスおよび他の動物行動におけるLC-NA神経およびHes5陽性アストロサイトの更なる役割を検証していく。
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