研究課題/領域番号 |
22KJ2475
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補助金の研究課題番号 |
22J21255 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
亀谷 陽平 九州大学, 工学府, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 一酸化窒素直接分解 / 金属錯体 / 密度汎関数理論計算 / 反応機構解析 / DFT計算 / 一酸化窒素 / 二核金属錯体 / 反応機構 / 窒素酸化物 |
研究開始時の研究の概要 |
一酸化窒素(NO)は光化学スモッグや酸性雨を引き起こす環境汚染物質である。そのため、工場や自動車には排出されるNOを窒素へと変換する浄化触媒が用いられる。その代表例である三元触媒や選択触媒還元法には、空燃比の精密な制御を要する、還元剤を要するなど課題が残る。一方、2分子のNOから窒素と酸素が生成する反応「NO 直接分解」はシンプルかつ還元剤を必要としない反応であるため、上記の課題を克服したNO浄化プロセスとして応用が期待できる。本研究では量子化学計算を用いて、金属錯体を触媒とするNO直接分解の反応機構を予測、解析する。その知見に基づき、NO直接分解可能な金属錯体の設計指針を理論的に提案する。
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研究実績の概要 |
一酸化窒素(NO)の亜酸化窒素(N2O)への還元は金属錯体によるNO直接分解に密接に関わっていると考えられる。申請者はNO還元によって生じるμ-オキソ錯体およびN2Oをさらに反応させることができれば、NO直接分解が達成できるのではないかと着想した。そこで、金属錯体によるNO還元に続くNO直接分解の反応機構を密度汎関数理論(DFT)計算に基づき解析した。 申請者は既報 [Y. Kametani et al. Dalton Trans. 2021, 51, 5399-5403] において二核銅錯体によるNO還元の反応機構を提案した。本反応におけるμ-オキソ二核銅錯体 [Cu-O-Cu]とN2Oとの反応を検討し、NO還元を経由したNO直接分解経路を探索した。DFT計算の結果、[Cu-O-Cu]とN2Oとの反応によりμ-パーオキソ錯体 [Cu-O2-Cu]とN2分子が生成する反応経路が得られた。本反応は発熱反応ではあるものの、高い活性化障壁によりその進行は非常に困難であると示された。以上の結果から、μ-オキソ錯体とN2Oとの反応性の低さがNO直接分解のボトルネックであると予測される。 上述の活性化障壁を減少させる戦略として、NO還元後にμ-オキシル錯体 [M-O(・-)-M]を生成するような反応系を探索した。その候補としてCu-Zn異核金属錯体を選択し、Cu-Zn錯体のNO還元で生じるμ-オキシル錯体 [Cu-O(・-)-Zn] とN2Oとの反応を検討した。計算結果から、前述の二核銅錯体と同様の機構で進行し、μ-スーパーオキソ錯体 [Cu-O2(・-)-Zn] とN2分子が生成する。しかしながら、二核銅錯体での結果に対する活性化障壁の減少はごく僅かであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、2023年度で「律速段階の解析」を概ね完了して、「錯体の設計・検証」を開始した。最初の候補として、Cu-Zn異核錯体をモデルとして検証を行った結果、想定しているほどの改善は見られなかった。この結果は、第二の候補の設計指針を考える上で重要な知見である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き「錯体の設計・検証」を継続する。まず、2022年度までの二核銅錯体の計算結果と、2023年度に実施した第一モデルによる検証の計算結果を踏まえて、第二モデルの設計に取り掛かる。その後、第二モデルによる検証を行う。
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