研究課題/領域番号 |
22KJ2477
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補助金の研究課題番号 |
22J21285 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
隈部 哲 (2023) 九州大学, マス・フォア・イノベーション連係学府, 特別研究員(DC1)
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特別研究員 |
隈部 哲 (2022) 九州大学, 数理学府, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 超幾何関数 / 楕円曲線 / K3曲面 / 合同ゼータ関数 / 虚数乗法 / 多変数超幾何関数 |
研究開始時の研究の概要 |
超幾何関数はパラメーターをもつ複素変数の級数として知られ、EulerやGaussらによって古くから研究されてきた。本研究は、有限体上の代数多様体から得られる整数論において重要な量と超幾何関数との関係を精密に理解することを目的とする。特に超幾何関数と関わりが知られている有限体上の代数多様体の族に対して、超幾何関数の手法による有理点の個数の記述、および合同ゼータ関数の根と超幾何関数の特殊値との関係について解明を目指す。
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研究実績の概要 |
超幾何関数の特殊値と有限体上の代数多様体の合同ゼータ関数の根との間の超合同と呼ばれる現象について研究を行った。前年度までにAppellの2変数超幾何関数F4と2つの虚数乗法をもつ楕円曲線に対して超合同と呼ばれる合同式についての予想を定式化し、特別な場合に証明していた。今年度は新たにAppellのF2に対して超合同を定式化し、やはり特別な場合に証明を得ることができた。証明について、前者は超幾何関数の積公式から容易に既存の結果に帰着されるのに対し、後者は有限体上の2変数超幾何関数を経由し、(有限体および複素双方の)1変数超幾何関数と結びつけることで証明が得られた。さらに定式化された超合同の予想からAppellのF4については付随するK3曲面族とある楕円曲線族との関係が示唆されるが、F2についても一部のパラメータに対してはK3曲面族に対応する楕円曲線族の形に検討がついた。これらの結果について、前年度得られた結果は国内、今年度のものは国外でそれぞれ発表を行った。また、上述の有限体上のAppellの2変数超幾何関数を含むより広いクラスの2変数超幾何関数を導入し、その基礎づけを行った論文が改訂ののちに受理された。(大島商船高専の伊東良純氏, 金沢大学の中川彬雄氏、千葉大学の根本裕介氏との共同研究。)さらに予想されている超合同の証明に取り組む過程で、超幾何関数の積分表示(の有限体における類似)から定まる行列に対し、その超幾何的な性質を明らかにすることができた。(University of VirginiaのHasan Saad氏との共同研究。)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
合同ゼータ関数の根をp進的に近似する超合同に関して、前年度得られたものに加えてさらにもう一つ2変数の超幾何関数に対し超合同と呼ぶに値する合同式を定式化することができた。また、ここ数年の間に基礎づけが進んでいる多変数超幾何関数の有限体における類似の理論を用いて部分的に証明を得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
超合同と呼ぶに値する合同式の例をさらに増やすことができたため、各々の設定、合同式から期待される幾何的な背景を手掛かりに予想の証明について検討する。また、これまでに得られている部分的な結果の証明はすべて超幾何的な手法によるが、今後はp進的なアプローチにも取り組む予定である。
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