研究課題/領域番号 |
22KJ2481
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補助金の研究課題番号 |
22J21391 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分27040:バイオ機能応用およびバイオプロセス工学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
原 江希 九州大学, 工学府, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | ionic liquid / liquid crystal / DDS |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では生体適合性・経皮浸透促進効果の優れたイオン液体を計算化学によりスクリーニングする方法を構築し、それを用いたイオン液体液晶キャリアを創製し高性能な経皮ワクチンの開発を目指す。この開発において、皮膚浸透性及び生体適合性の高いイオン液体を使用することは必須条件となる。しかしながら、アニオンとカチオンの組み合わせが10の16乗組存在するイオン液体の中から一つ一つ合成し、評価することは困難であり現実的ではない。そこで本研究では、計算化学や機械学習を用いて最適なイオン液体をスクリーニングする手法を導入する。
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研究実績の概要 |
本研究では生体適合性・経皮浸透促進効果の優れたイオン液体を計算化学によりスクリーニングする方法を構築し、それを用いたイオン液体液晶キャリアを創製し高性能な経皮ワクチンの開発を目指している。令和4年度では、COSMO-RS 計算化学ソフトを用いて分子の表面電荷を「毒性のメカニズムに基づく変数」とし、機械学習を駆使してイオン液体の毒性予測モデルを構築した。令和5年度では、選択したモデルのRandom Forest Regressor (rf)がこの毒性予測において適しているかを検討するためPycaretを用いて18種類のモデルを比較した。その結果、Huber Regressor (huber)がモデルとして最適であることが示唆された。Huber Regressorは、回帰分析において使用されるモデルの一つである。Huber損失関数を最小化するようにパラメータを学習し、外れ値に対してロバストな予測を行う。Huber損失関数は、外れ値による誤差が小さい場合は二乗誤差を、外れ値による誤差が大きい場合は絶対値誤差を使用する。これにより、外れ値の影響を適切に制御しながらモデルを学習することができる。現在の学習データはデータ数が少なく、説明変数としてσ-profileのみが用いられ、外れ値が多くなったため、外れ値や異常値の存在に対して頑健な性質を有するHuber Regressorが最適となったと考えられる。 また、非常に優れた生体適合性、皮膚浸透性を有していたコリン及びオレイン酸を用いたイオン液体について核酸試薬の細胞内送達試験を行った。その結果、トランスフェクション試薬であるオリゴフェクタミンを加えた群より高い細胞内送達を達成した。これによりコリン及びオレイン酸を用いたイオン液体と核酸試薬が複合体を形成し負電荷を打ち消すことによって細胞内に送達しやすくなることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
毒性予測モデルの最適化により進捗状況としてはやや遅れている。 令和4年度で毒性予測モデル(Random Forest Regressor:rf)を用い、毒性予測モデルを構築したが、この毒性予測モデルを用いたIL[Cho][Ole]、IL[Cho][Oct]の毒性予測値と実験値では大きな差が見られ、実用するには精度が低かった。そこで、精度を向上させるためにサンプル数の拡充や18種類のモデルによる比較を行った。その結果、Huber Regressor (huber)がモデルとして最適であることが示唆された。huberを用いた新規毒性予測モデルはtest dataのR2値は低くなったが、毒性予測の予測性能はrfを用いていた予測モデルと比較して向上した。
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今後の研究の推進方策 |
毒性予測モデルの構築については、Huber Regressor (huber)をモデルとして決定し、実用可能なレベルまで性能を向上させる。そのためにさらなるデータ数の拡充、ハイパーパラメータのチューニング、アンサンブル学習、特徴量(目的変数)の選択または新しい特徴量の追加を行っていく。 令和5年度にて着手したイオン液体キャリアによる核酸試薬の経皮送達・細胞内送達については、in vitroからin vivoの実験に移行する。
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