• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

治療効果を高める薬剤組み合わせを予測する情報技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ2494
補助金の研究課題番号 22J21984 (2022)
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金 (2023)
補助金 (2022)
応募区分国内
審査区分 小区分62010:生命、健康および医療情報学関連
研究機関九州工業大学

研究代表者

難波 里子  九州工業大学, 大学院情報工学府, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
キーワード薬剤組み合わせ / 薬剤併用 / 相乗効果 / ドラッグリポジショニング / 治療標的分子
研究開始時の研究の概要

疾患治療では単一の薬剤による治療が主流であるが、難治性の疾患に対する治療効果は限定的である。そのため、複数の薬剤の組み合わせによる相乗効果を活用した薬剤併用療法が注目されている。薬剤の組み合わせ数は膨大であり、実験的に全ての可能性を検証することは不可能である。本研究では、薬剤を細胞に添加した際の生体応答を反映する遺伝子発現パターンと疾患状態を反映する遺伝子発現パターンの融合解析により、疾患の治療効果を高める薬剤組み合わせを予測する情報技術を開発する。

研究実績の概要

疾患治療では単一の薬剤による治療が主流であるが、難治性の疾患に対する治療効果は限定的である。そのため、複数の薬剤の組み合わせによる相乗効果を活用した薬剤併用療法が注目されている。しかし、薬剤の組み合わせ数は膨大であり、実験的に全ての可能性を検証することは不可能である。本研究では、薬剤を細胞に添加した際の生体情報と疾患の生体情報の融合解析により、疾患の治療効果を高める薬剤組み合わせを予測する情報技術を開発する。
疾患と薬剤ペア間でのタンパク質と遺伝子発現に関する相互作用を考慮することで、さまざまな疾患に対し治療効果を高める薬剤組み合わせを予測する機械学習手法を構築した。タンパク質レベルの情報として、疾患の治療標的分子(制御すると治療に繋がる生体分子)と薬剤ペアの標的分子間の相互作用を考慮した。遺伝子発現レベルの情報として、疾患の遺伝子発現パターンと薬剤ペアの遺伝子発現パターンの相互作用を考慮した。ベイズ最適化により、最適な薬剤の組み合わせを予測する手法を開発し、その性能を数値的に検証した。その結果、先行研究の手法を大幅に上回る精度を達成することができた。
開発した手法を大腸がんに適用し、治療効果が高まる薬剤組み合わせを予測した。予測した結果について、臨床薬理学の専門家と連携し、in vitroでの実験検証を行った。実験の結果、単剤では治療効果が薄いが、組み合わせることで飛躍的に治療効果が高まる薬剤組み合わせを見出した。さらに臨床応用の可能性を探索するために、大腸がんの承認薬と同定された薬剤組み合わせの3剤による併用効果についても、in vitroでの実験検証を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

治療効果を高める薬剤組み合わせを予測する情報技術を開発し、その性能を数値的に検証した。その結果、先行研究の手法を大幅に上回る精度を達成することができた。開発した手法をさまざまな疾患に適用し、新規に治療効果を高める薬剤組み合わせを予測した。開発した手法を大腸がんや前立腺がん、多発性骨髄腫など10疾患に適用し、治療効果を高める薬剤組み合わせを新規に予測した。新規に予測された薬剤組み合わせに関して文献調査を行い、妥当性を検証した。また、機能解析により薬剤併用の相乗効果に関して作用機序を解析した。
大腸がんに対して予測された薬剤組み合わせについて生物学的な検証を行うために、臨床薬理学の専門家と連携しin vitroでの実験検証を行った。予測された複数の薬剤組み合わせについて、単剤では抗がん作用が薄いが、組み合わせることで抗がん作用が高まる薬剤組み合わせを見出した。さらに臨床応用の可能性を探索するために、大腸がんの承認薬と同定された薬剤組み合わせの3剤の併用効果についても、in vivoでの実験検証を行った。

今後の研究の推進方策

大腸がんに対して抗がん作用を高めることが確かめられた薬剤組み合わせについて、併用による相乗効果の作用機序を解析する。大腸がんの遺伝子発現データと薬剤ペアの遺伝子発現データの融合解析により、薬剤ペアが作用する可能性が高い疾患の生体パスウェイを統計的に推定する。また、予測に使用したデータとは独立のコホートデータを用いて、開発した手法の外挿性を評価する。さらに、今回行った網羅的な実験検証の結果や予測された薬剤組み合わせの生体情報を用いて、治療効果を高める薬剤組み合わせの特徴や傾向を、遺伝子発現パターンや生体分子ネットワーク上での相互作用の観点から考察を行う。
さらに単剤では高い治療効果が得られないが、複数の薬剤による併用療法により高い治療効果が得られる可能性が高い難治性疾患(新型コロナウイルス、潰瘍性大腸炎、パーキンソン病、アルツハイマー病など)に開発手法を適用し、新規に治療効果を高める薬剤組み合わせを予測する。文献や疾患の生体情報、薬剤の生体情報を用いて、難治性疾患に対する治療効果の妥当性を評価する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (18件)

すべて 2024 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 図書 (2件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] A network-based trans-omics approach for predicting synergistic drug combinations2024

    • 著者名/発表者名
      Midori Iida, Yurika Kuniki, Kenta Yagi, Mitsuhiro Goda, ○Satoko Namba, Jun-ichi Takeshita, Ryusuke Sawada, Michio Iwata, Yoshito Zamami, Keisuke Ishizawa, and Yoshihiro Yamanishi.
    • 雑誌名

      Communications medicine

      巻: -

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Galectin-10 in serum extracellular vesicles reflects asthma pathophysiology2024

    • 著者名/発表者名
      Hanako Yoshimura et al.
    • 雑誌名

      Journal of Allergy and Clinical Immunology

      巻: 153 号: 5 ページ: 1268-1281

    • DOI

      10.1016/j.jaci.2023.12.030

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] From drug repositioning to target repositioning: prediction of therapeutic targets using genetically perturbed transcriptomic signatures2022

    • 著者名/発表者名
      Namba Satoko、Iwata Michio、Yamanishi Yoshihiro
    • 雑誌名

      Bioinformatics

      巻: 38 号: Supplement_1 ページ: i68-i76

    • DOI

      10.1093/bioinformatics/btac240

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 機械学習による薬剤標的分子予測と薬剤組み合わせ効果の検討2024

    • 著者名/発表者名
      亀淵由乃, 難波里子, 関谷 拓海, 大谷 則子, 岩田 通夫, 山西 芳裕
    • 学会等名
      日本薬学会第144年会、ポスター発表
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 機械学習による治療標的分子の予測と希少疾患への応用2024

    • 著者名/発表者名
      難波里子, 李晨, 大谷則子, 山西芳裕
    • 学会等名
      第10回CBI学会 個別化医療研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 統合失調症様モデルマウスに対する新規治療標的と新薬の予測2024

    • 著者名/発表者名
      吉本修人, 亀淵由乃, 難波里子, 山西芳裕, 古屋茂樹, 濱野桃子
    • 学会等名
      第61回化学関連支部合同九州大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Target repositioning to predict therapeutic target proteins using genetically perturbed transcriptome data2023

    • 著者名/発表者名
      Satoko Namba, Michio Iwata and Yoshihiro Yamanishi.
    • 学会等名
      The 31th International Conference on Intelligent Systems for Molecular Biology (ISMB2023)、ポスターパルーザ
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Target repositioning to predict therapeutic target proteins using genetically perturbed transcriptome data2023

    • 著者名/発表者名
      Satoko Namba, Michio Iwata and Yoshihiro Yamanishi.
    • 学会等名
      The 31th International Conference on Intelligent Systems for Molecular Biology (ISMB2023)、ポスター発表
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] herapeutic target prediction for rare diseases integrating GWAS and TWAS data2023

    • 著者名/発表者名
      Satoko Namba, Michio Iwata, Shin-Ichi Nureki, Noriko Otani and Yoshihiro Yamanishi.
    • 学会等名
      第12回生命医薬情報学連合大会、一般口頭発表
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Therapeutic target prediction for rare diseases integrating GWAS and TWAS data2023

    • 著者名/発表者名
      Satoko Namba, Michio Iwata, Shin-Ichi Nureki, Noriko Otani and Yoshihiro Yamanishi
    • 学会等名
      第12回生命医薬情報学連合大会、ポスター発表
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ターゲットリポジショニング:遺伝子摂動応答トランスクリプトームを用いた治療標的予測2022

    • 著者名/発表者名
      Satoko Namba
    • 学会等名
      第11回生命医薬情報学連合大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] ターゲットリポジショニング:遺伝子摂動応答トランスクリプトームを用いた創薬標的予測2022

    • 著者名/発表者名
      難波里子
    • 学会等名
      第5回CBI若手の会講演会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] From drug repositioning to target repositioning: prediction of therapeutic targets using genetically perturbed transcriptomic signatures2022

    • 著者名/発表者名
      Satoko Namba
    • 学会等名
      The 30th International Conference on Intelligent Systems for Molecular Biology (ISMB2022)
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 国際学会
  • [図書] ポストGWAS時代の遺伝統計学 オミクス解析と機械学習でヒト疾患を俯瞰する2023

    • 著者名/発表者名
      難波里子, 岩田通夫, 山西芳裕
    • 総ページ数
      232
    • 出版者
      羊土社
    • ISBN
      9784758104104
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] ポストGWAS時代の遺伝統計学2023

    • 著者名/発表者名
      岡田 随象
    • 総ページ数
      232
    • 出版者
      羊土社
    • ISBN
      9784758104104
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [備考] 国際会議参加報告 ISMB2022

    • URL

      https://www.jsbi.org/media/files/_u/topic/file/nl42.pdf

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書 2022 実績報告書
  • [備考] 生体分子と疾患のビッグデータから治療標的分子を高精度で予測するAIを開発

    • URL

      https://www.kyutech.ac.jp/whats-new/press/entry-9220.html

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [備考] 生体分子と疾患のビッグデータから治療標的分子を高精度で予測するAIを開発

    • URL

      https://www.chem-station.com/blog/2022/08/drtr.html

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

URL: 

公開日: 2022-04-28   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi