研究課題/領域番号 |
22KJ2521
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補助金の研究課題番号 |
22J22784 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分35030:有機機能材料関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
MOKHTAR ASHKAN 熊本大学, 自然科学教育部, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2024年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | ペロブスカイト型量子ドット / ジアリールエテン / 発光スイッチング / ジアリールエテン複合ペロブスカイト型量子ドット |
研究開始時の研究の概要 |
完全無機ペロブスカイト型量子ドット(pQD)は100 %に近い発光量子収率を示し、発光色も全可視光領域にわたって調整できるため、次世代の発光材料として注目を集めている。我々のグループでは、光応答性分子であるジアリールエテン誘導体をpQD に複合化させることで、pQD の発光特性を光で可逆的に制御できる機能性複合材料を開発し、それを超解像イメージングや光メモリへ応用することをめざした研究に取り組んでいる。このような背景から、量子ドットに複合化されたフォトクロミック分子の光反応に伴う光褪色の原因を解明し、優れたON/OFF コントラストと高い繰り返し耐久性を満足する新しい複合材料の開発が切望されている。
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研究実績の概要 |
昨年度、発光スイッチングのメカニズムを解明した。その知見を基に、緑色の発光を示す(CsPbBr3)発光スイッチング可能かつ安定なペロブスカイト型量子ドットの合成に成功した。これらの結果を踏まえて今年度はジアリールエテン配位子の結合力の強さとスイッチングサイクルの安定性を調べ、適切な配位子を選択した。また、ポンプ・プローブ分析を用いて本系では電子移動が起こらず、FRETのみでスイッチングを示すことを証明した。その研究の論文について現在作成中である。また、表面ポリマーコーティングを用いて、極性溶媒中で使用可能な量子ドットの発光スイッチングも試みたが、極性溶媒中での発光スイッチングは残念ながら達成できなかった。CsPbBr3と別で赤色の発光を示すCsPbI3量子ドットの発光スイッチングについてもポンプ・プローブ分析を用いてFRETのみでスイッチングを示すことを証明した。現在は、量子ドットの組成を変えながらペロブスカイト型量子ドットのバンドギャップとスイッチングメカニズムの関係性を調べている。また、理論計算を用いて、様々なジアリールエテンのエネルギー準位を計算し、CsPbBr3と複合させた場合FRETのみで発光スイッチングを示すジアリールエテン分子を探索している。今まで3種類異なるジアリールエテンとの複合体を作製したが残念ながらジアリールエテンの設計を重視した安定なスイッチング系はまだ作成できていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では単粒子における発光スイッチングを目的としており、スイッチングメカニズムの解明はその大切な第一歩である。昨年度もメカニズムに関する検討を行っていたが、予想されたメカニズムの確実な実証までには至らなかった。しかし、得られた知見を基に分子設計に対する考え方を確立することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今までの研究から得られた知見を踏まえて、ジアリールエテンと量子ドット間の電子移動を防ぐことが一つの方針である。そのために、配位部位の調整を行った緑色の発光を示す量子ドットと、これまでのジアリールエテン骨格を複合させる。また計算化学を用いて新たなジアリールエテン骨格の設計を行い、ジアリールエテン複合ペロブスカイト型量子ドットの配位子の設計法を確立する。さらに、水中での発光スイッチングを目的にシリカでのコーティング法を単粒子で行うことで、その外部表面をジアリールエテンで修飾し、水中での発光スイッチングを実現することを目標に研究を遂行する予定である。
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