研究課題/領域番号 |
22KJ2536
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補助金の研究課題番号 |
22J20507 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分22030:地盤工学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
西村 伊吹 琉球大学, 生産エネルギー工学専攻(理工学研究科 工学系), 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 防砂シートの経年劣化 / 埋立土砂の吸い出し / 地盤陥没 / 数値解析 |
研究開始時の研究の概要 |
護岸背後盛土における土砂の吸い出し現象は地盤陥没を誘発するため,盛土表面を防砂シートで被い,土砂の外部流出を防止する措置が取られる。しかしながら,シートの経年劣化に伴う吸い出し現象が報告されており,対策工法として大きな問題を抱えている現状がある。また,埋設されたシートの劣化状況を施工後に評価することは困難であるため,シートの経年劣化や吸い出しの状態を評価できる解析技術が必要視されている。本研究では,防砂シートの経年劣化と吸い出し現象,地盤陥没を同時に評価しうるシミュレータを開発し,そのメカニズムを明らかにするとともに,これを抑制するための次世代の盛土保護技術について考究する。
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研究実績の概要 |
本研究は,防砂シートの経年劣化と埋立土砂の吸い出し現象,地盤陥没を同時に評価できるシミュレータを開発するとともに,MICP技術と防砂シートを併用した次世代の盛土保護技術の可能性について,シミュレーション工学の観点から検証するものである。2022年度に得られた結果は以下のようにまとめることができる。 (1)防砂シートの経年劣化解析:文献調査により,防砂シートを構成するポリエチレンテレフタレート(PET)が加水分解によって劣化することを確認した。一般に,化学反応による物質の濃度変化は反応拡散理論に基づくことで数理モデル化できることから,本研究では,PETの加水分解反応を反応拡散理論にて数理モデル化した。また,本モデルを実装したシミュレータを用いて,PETの溶解実験との比較解析を実施し,提案モデルの妥当性を検証することができた。これにより,防砂シートの劣化度合いを評価することが可能となった。 (2)砂の移動解析シミュレータの開発:粒子の移動解析に定評のある個別要素法を用いることを決定し,汎用性を高めた独自コードの開発に成功した。なお,本研究では,防砂シートの劣化,砂粒子の移動,MICPによる盛土固化を同時に扱うことを想定していることから,計算規模が大規模化することが予測された。そこで,独自コードの開発にあたっては,超大規模計算方法の実装を視野に入れ,大規模解析の理論・実装に造詣の深い東京大学大学院の山田知典准教授のもとで研究を実施した。 (3)繊維材の簡易モデル化: MICP技術による護岸背後盛土の吸い出し現象の抑制可能性について,シミュレーション工学の観点から検証するために,PET繊維材料を考慮できるMICPシミュレータを構築した。これにより,繊維材周辺における炭酸塩の析出メカニズムや土粒子を固着するプロセスを解析可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
防砂シートの経年劣化シミュレータを構築し,既往の研究との比較解析を実施した。その結果,PETの分解率はすべての実験条件で実験値と同等の値となることが確認した。また,砂粒子の移動解析シミュレータは,個別要素法を用いた独自コードを開発し,本コードの精度については,安息角などの実測値との比較解析によって検証し,実測値に一致することを確認できた。 以上のことから,本研究はおおむね順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究はおおむね順調に進捗しており,当初の研究計画書に沿って研究を進める予定である。具体的には,本年度構築した防砂シートの劣化シミュレータと砂粒子の移動シミュレータ,MICPシミュレータを連成させる方法論の確立を目指す。
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