天然のウランには半減期の長いU-235とU-238という同位体が存在し、その同位体比の変動は地球化学で広く議論される。ウラン同位体分別の機構解明のためには、平衡論的同位体分別係数εと速度論的同位体分別係数αの理論計算が有効である。しかし、αには遷移状態が関与し、ウランのような重元素ではαの計算手法は未確立である。本研究では、相対論的量子化学に基づいた重元素のαの計算手法開発を目指してきた。しかしながら遷移状態の探査を考える中で、平衡系での電子相関の影響を検証する重要性に気付いた。そのため、αの計算に着手する前に、平衡系のウラン同位体分別に焦点を当て、電子相関の重要性を議論することとした。
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