研究課題/領域番号 |
22KJ2599
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補助金の研究課題番号 |
22J40112 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
阿部 美香 京都府立大学, 文学部, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 風景観 / 近世後期 / 近代前期 / 名所案内記 / 文章 / 比較 / 出版物 / 浮世絵版画 / 大坂 / 風景 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の大きなテーマは、近世から近代への移行期における人々の風景観の解明であり、具体的には以下の2点を探究する。(1) 近世後期から明治初期の大都市大坂における人々の風景観を,当時の名所案内記や浮世絵版画における風景表現の分析から提示する。左記のような出版物の中で、絵と文章により風景がいかに描出されているかを検討する。(2) 近世後期の日本での,地方(殊に長野や東北地方)における人々の風景観を,名所案内記や紀行文、和歌における風景表現の分析から提示する。風景がどのように記されているかを分析し,著者がそれらの風景へ持った見方を考察する。
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研究実績の概要 |
近世後期の日本の人々が抱いた風景観解明へ向け、近世後期と近代前期における名所案内記を比較し、描出された風景記述を同じ場所に関し比較をすることで、両者の特徴を浮彫りにすることを試みた。 具体的には、江戸後期に出版された、江戸に関する最大の名所案内記『江戸名所図会』(『江戸』)における1142項目と、近代前期にあたる明治後期に出版された、東京に関する最大の名所案内記『新撰東京名所図会』(『新撰』)・『東京近郊名所図会』(『近郊』)の7275項目を検討対象とした。まず上記の東京の名所案内記7275項目と、江戸の名所案内記1142項目の重なりを一つ一つ調査した。その結果、634項目が江戸と東京の名所案内記の両方で共通することが判明した。 634項目の属性については、およそ半数が寺社であり、地名・道・宿駅・町、また河岸・渡し場・橋(魚市・木場含む)がそれに続いている。 『新撰』および『近郊』と、『江戸』の間で共通する項目に関し,その文章を比較すると三分類し得た。一つ目は、文章が由緒由来の記述のみの場合,二つ目は,位置表記や由緒由来以外の文章に関し,その場所の風景を記述する際の着目点に差異はないが,『江戸』に比して『新撰』または『近郊』の風景記述の量が増加している場合,三つ目は,『江戸』と『新撰』・『近郊』の間で,その場所の風景を記述する際の着目点が異なる場合であり、更に2つに大別された。一つは,江戸期になく明治期に新たに登場した事物に関し,何らかの評価は伴わずにその事物の有無について述べる場合であり、もう一つは、その場所の風景に関し,何らかの評価を伴い記述される場合である。後者に関し、分布図を作成した上で検討すると、江戸期に存在していたものへの郷愁を示すもの、明治後期の状態を、江戸期からの連続性を持って評価するもの、明治期の新たな状態を特筆するもの、明治期の状態を批判するものに分類できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
8000という膨大な項目数を単独で分析し、現在作業を完遂して、論文としてまとめる段階に入っているため、順調に進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
江戸と東京における近世後期と近代前期の風景観や場所認識を、当時の社会状況とともに検討し、論文にまとめた後は、大都市として比較可能な大坂と大阪を研究対象地として、大坂・大阪の名所案内記や浮世絵版画等を近世と近代間で比較しながら、江戸・東京との共通点や相違点を検討し、当時の日本社会における人々の風景観解明へと繋げていく。
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