研究課題/領域番号 |
22KJ2608
|
補助金の研究課題番号 |
21J23306 (2021-2022)
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
|
研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪市立大学 (2021) |
研究代表者 |
木山 花 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
|
キーワード | 細胞運動 / 合成生物学 / 細菌アクチン / MreB / 運動能 / 進化 |
研究開始時の研究の概要 |
スピロプラズマ は植物や節足動物の病原細菌であり、らせん状の細胞を反転させることにより独自の遊泳運動を行なう。本研究では、この遊泳運動のメカニズムと進化上の起源を明らかにすることを目的とする。すなわち増殖に必要な最小限の人工ゲノムをもつ“合成細菌”に 、スピロプラズマ遊泳運動に関わると考えられるタンパク質を様々な組み合わせで発現させ、らせん状の細胞形態や動きを再構築することで、運動のメカニズムを明らかにする。 さらに、遊泳運動の進化上の起源を議論するために、合成細菌に遊泳能を付与するタンパク質の祖先型タンパク質に変異を導入することで、動かない細菌の運動能獲得を再現したい。
|
研究実績の概要 |
植物や節足動物の病原細菌であるスピロプラズマはらせん状の細胞の左巻き、右巻きを反転させて遊泳する。本研究では、増殖に必要な最小限のゲノムを持つミニマル合成細菌JCVI-syn3Bを用いて、スピロプラズマらせん反転運動のメカニズムと起源を探索することを目的とした。 2021年度、2022年度の研究でミニマル合成細菌にスピロプラズマが持つアクチンホモログである5種類のMreBのうちMreB5とMreB4もしくはMreB5とMreB1のペアを発現させることで、らせん反転運動を構築できることを明らかにした。MreBは他の細菌では運動のモーター装置の役割を持たない。そこで、2種類のスピロプラズマMreBがらせん反転を駆動するメカニズムとその起源を調べるためにMreBに対して部位特異的変異導入とランダム変異導入を進めつつあった。 2023度は、変異導入したMreBを発現するミニマル合成細菌の形態と挙動を解析した。ATPase活性を低下させる変異、MreBの繊維形成を阻害する変異、ランダム変異など様々な変異をMreBに導入し、MreB5、MreB4、MreB1のみ、MreB5とMreB4のペア、MreB5とMreB1のペアにおいて解析した。変異を持たないMreB5のみを発現するJCVI-syn3Bは右巻きであったが、MreB4のみではらせんを形成しなかったことからMreB5が主となり細胞のらせんを形成していることが示唆された。また、ATPase活性が低下する変異の結果から、MreB4やMreB1がATPのエネルギーを用い、右らせんのMreB5繊維に力を加えることで左らせんに反転させ、遊泳のモーターとして働いている可能性が示唆された。 本研究はMreBが運動のモーターとして働くことをミニマル合成細菌を用いて示唆した初めての研究であり、他の研究に発展することも期待できる。
|