研究課題/領域番号 |
22KJ2616
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補助金の研究課題番号 |
22J14274 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 (2023) 大阪公立大学 (2022) |
研究代表者 |
白木 啓文 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 研究員
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 超蛍光 / キラリティ / プラズモン / 指向性 / 光圧 |
研究開始時の研究の概要 |
超蛍光とは、高密度な量子発光体が放射場を介した相関により位相が同期し、自発的に協力発光する現象である。本研究では、光源応用を見据えた画期的な機能と性能を持つ超蛍光を発現させるために、任意にデザインされた環境が作り出す場が超蛍光へ与える影響の解明を目指す。計算モデルとして微細金属構造や共振器に発光体が配置された系を想定し、発光体同士の多体相関がどのように変調され、またそれにより超蛍光の放射方向や偏光方向がどのように変化するのかを原理的に明らかにする。さらに、そうした超蛍光の発光が発光体に対して光圧として作用することによって誘起される運動についても、環境構造が持つ役割について明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、超蛍光と呼ばれる発光現象が持つ様々な特徴が環境構造によってどのように変調させられるかを明らかにすることである。当該年度は、主に超蛍光の発光強度と指向性がどのように変化するのかに着目し複数の重要な成果を得た。さらに、それらの特徴によって発光体同士に発光による光圧が作用する可能性について考えた。 (1)採択以前より取り組んでいた、キラルな環境構造がらせん状に並んだ発光体における超蛍光の発現に選択的に影響を与える効果について、当該年度はこの選択性が生じる原因について各発光体の励起占有率の変化や発光体近傍での偏光分布の変化から明らかにした。またこの一連の研究を論文にまとめPhysical Review Aに投稿し、掲載された。 (2)発光体の配列を、遺伝的アルゴリズムを活用して超蛍光の指向性が最適化される発光体間隔を計算し、その間隔においてどのような相関が強い指向性をもたらすのかを明らかにした。特に、有限の発光体配列の場合に発光方向が配列方向からずれることや、最適な間隔が必ずしも半波長と一致しないなどの重要な知見を得た。この成果は超蛍光を用いた光源開発の際の指導原理の一つとなるものである。結果はJournal of Physical Society of Japanに投稿され、掲載された。 (3)新たに超蛍光が各発光体に与える光圧とその光圧によってどのような運動が起こるのかについても取り組んだ。これまでに超蛍光研究において発光体同士に作用する光圧が研究された例はなく、これまでの発光強度や指向性に関する知見を活かし、超蛍光の特徴が反映された運動について初めて明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通り、金属構造などを含む様々なモデルにおいて超蛍光の発光強度や偏光分布、指向性などに着目しながら、超蛍光における発光体同士の多体相関の形成や同期現象に与える影響について明らかにすることができた。そして、それらから得られた成果について、2本の論文を投稿し、掲載された。これらの成果は、本研究の完成によってもたらされる、微細な幾何学的構造を含む環境が作り出す場によって、超蛍光の空間特性が強く変調される新たな相関機構を開拓と、コヒーレント光源の応用へ向けた新たな指導原理へと繋がる重要な成果であると考えられる。また、超蛍光の指向性の計算では、遺伝的アルゴリズムを用いることによって新たな知見を得ることに繋げており、直感的理解が難しい多体問題などを包括的に理解するための新しい方法論に繋がる成果であると考えている。 さらに、超蛍光による光圧とそれによってもたらされる発光体の運動については、当初の計画には無かった発想からもたらされた成果である。これらのことから、当該年度において本研究は当初の計画以上に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の今後の推進方策として、研究計画には含まれていなかった新たな成果である、超蛍光による光圧と、その光圧による運動について取り組んでいく予定である。特に、これまで取り組んできた金属構造などを含むような環境系において超蛍光による光圧がどのように働くのかを明らかにしていくことで、環境構造を介した特徴的な運動などを引き起こすことが出来ないかといったことについて明らかにしていきたい。 さらに、2年目の計画に含まれていた実験グループとの共同研究についても考えていきたい。実験グループへの理論研究からの実験系の提案など言った方向性から共同研究の可能性などを探っていきたい。
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