研究課題/領域番号 |
22KJ2647
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補助金の研究課題番号 |
22J01362 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分17050:地球生命科学関連
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
上田 修裕 学習院大学, 理学部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | Mg / 初期地球 / フェリハイドライト |
研究開始時の研究の概要 |
深海熱水環境は生命の誕生と初期進化の場として地球科学や生物分野で脚光を浴びている。特に、現在の超塩基性岩を母岩とする熱水は、生物の代謝に利用可能であるH2に富むことから、初期生命にとって重要な場とされている。しかし、太古代の海水は現在とは異なっていたにもかかわらず、当時の海水組成を想定した研究例が少なく、太古代の熱水の性質の理解は乏しい。ましてやそれが与える地球表層環境への影響も明らかではない。そこで、本研究では室内実験を実施し、太古代熱水の推定と地質記録に残る際のMg等の元素の同位体比の分別係数を明らかにし、これを天然試料に応用することで、太古代の熱水が与える海水への寄与度を推察する。
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研究実績の概要 |
太古代の地質記録などから、当時の大気海洋のCO2濃度が高く、現在とは異なる表層環境であったとされる。本課題では、現在と異なる太古代の表層環境での蛇紋岩熱水組成の解明とその熱水が海洋に与えた影響を、水-岩石反応をモニターする熱水実験、フェリハイドライトへ吸着する際のMg同位体比分別を決定する室内実験、及び太古代縞状鉄鉱床の分析を通じ、Mg同位体を媒介として定量的に明らかにすることを目的としている。 本年度は、後者の太古代海水中のMg同位体比を復元すべく、当時形成した縞状鉄鉱床の利用を見据え、その主成分であるフェリハイドライトに吸着するMgの吸着率のpH依存性の理解を目指した。まず、吸着実験で使用するフェリハイドライトを水溶液中で合成した。合成後、ヘマタイトなどの別の鉄を含む鉱物への変質を防ぐために真空凍結乾燥を行った。次に、吸着率のpH依存性を理解するため、様々pH条件下でMg塩を溶かした水溶液に合成フェリハイドライトを加え、Mgのフェリハイドライトに対する吸着率を求める固液分配実験を実施した。実験中に、溶液の逐次サンプリングを行い、溶液に含まれるMgの定量をICP-MSを用いて行った。その結果、吸着率は酸性側では低く、pHが8前後で急激に増加し、アルカリ性側では高い吸着率を示すことが明らかになった。このことは、太古代の海水が弱酸性であることを考慮すると、Mgのフェリハイドライトへの吸着は比較的少なかったことを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、太古代海水での高温高圧条件下での水-岩石反応の実施に加えて、フェリハイドライトの人工合成し、それを用いたMgの固液分配実験を行い、Mg同位体比測定を行うこと及びを主な目標としてきた。しかし、フェリハイドライトの人工合成し、それを用いたMgの固液分配実験を実施できたものの、コロナ禍の影響で出勤・出張が制限されたこと等を受け、当初予定していた太古代海水で行う水-岩石反応模擬実験の実施、Mgの同位体比測定を行うことができなかった。したがって、進歩状況はやや遅れている、とした。
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今後の研究の推進方策 |
初年度、合成したフェリハイドライトを使用して、Mg吸着についてpH依存性を調べた。今後は、pH依存性も考慮にいれ、同位体比測定が十分に可能な初期条件を検討する。その後、水酸化鉄へのMgの固液分配実験を行う。水酸化鉄に由来する大量のFe等の元素がMgの同位体比測定における障害になるため、前処理を検討し、Mgの単離精製を行う。MC-ICP-MSを使用して、Mgの同位体比分析を行い、それぞれのpH条件下での同位体分別係数を測定する。さらに、天然の縞状鉄鋼床などの堆積岩から海水のMg同位体の情報の推定に向けて、Mgと挙動が似た元素(Srなど)をMg溶液に添加して、上記と同様の実験を実施する。それにより、Mgとその元素の濃度や同位体比の挙動を明らかにする。また、初年度に太古代海水条件における水-岩石反応実験を実施できなったため、今後その実験を実施する予定である。
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