研究課題/領域番号 |
22KJ2679
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補助金の研究課題番号 |
21J22452 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
河村 泰良 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 非平衡量子多体系 / 冷却Fermi原子気体 / FFLO状態 / 非平衡Green関数法 / 非平衡ダイナミクス / 対形成揺らぎ / 強結合理論 / フェルミ原子気体 / 非平衡系 / 非平衡定常状態 / 非平衡グリーン関数法 / 輸送方程式 / 双安定性 / 安定性解析 |
研究開始時の研究の概要 |
高い操作性を有する冷却原子系は、これまで多くの強相関量子多体現象の解明に貢献してきた。更に近年、この系に対し制御可能な散逸を導入することが可能となり、非平衡状態にある強相関量子多体系を系統的に調べられる系として大きな注目を集めている。「強相関性」と「非平衡性」の両方が重要となる物理現象の1つとして、クラスター形成(対形成)現象が挙げられる。本研究は、リュードベルグ原子ガスに注目することで、強相関性と非平衡性が組み合わさることで生じる、新たなクラスター形成機構を明らかにする。本研究で得られる知見は、幅広い物性系で注目を集めている非平衡量子凝縮の物性の理解にもつながると期待される。
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研究実績の概要 |
非平衡量子多体系における対形成(クラスター形成)現象を理解するために、2つの化学ポテンシャルの異なる熱浴との接続により非平衡状態に駆動される冷却Fermi原子気体のモデルを考えた。このモデルでは、熱浴間に印加された(化学ポテンシャル)バイアスにより、注目系のFermi原子気体中の粒子は、「2段構造」を持つ非平衡エネルギー分布に従う。この2段構造は、2つの熱浴の異なるFermi準位を反映している。これまでの研究で、この熱平衡Fermi-Dirac分布とは異なる構造を持つ非平衡エネルギー分布により、空間的に超流動オーダーパラメータが振動する、いわゆるFFLOタイプの超流動状態が安定な非平衡定常状態として実現することを明らかにした。 今年度は、熱浴間のバイアスをクエンチした際の注目系の実時間・実空間ダイナミクスを記述できる理論を新たに開発した。これにより、これまでの理論が対象としてきた非平衡定常状態が、どのようなダイナミクスを経て形成されるか調べることが可能となった。具体的には、注目系のオーダーパラメータのダイナミクスを記述する時間発展方程式を、非平衡Green関数法を用いてハミルトニアンより導出した。導出された時間発展方程式は、分布関数の情報を持つ非マルコフな熱浴との接続により、メモリ効果を含む積分微分方程式となる。一般にこのような積分微分方程式は計算コストの面から数値解法が困難であるが、補助場分解法と呼ばれるテクニックを応用することで、メモリ効果を含まない連立常微分方程式に書き換え、計算コストを大幅に削減できることを明らかにした。これにより、バイアスをクエンチして注目系を非平衡状態に駆動した際の、オーダーパラメータの実空間・実時間ダイナミクスを時間依存BdG方程式のレベルでシミュレーションすることが可能になった。
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