研究課題/領域番号 |
22KJ2692
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補助金の研究課題番号 |
22J12325 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分37020:生物分子化学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
氏江 優希子 慶應義塾大学, 理工学研究科(矢上), 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 浸潤進化 / 天然物 / 共培養 / 休眠遺伝子 / 二次代謝物 / 真菌 / Aspergillus |
研究開始時の研究の概要 |
放線菌や真菌の二次代謝物は医薬品として有用であるが,近年では新規化合物の取得の減少が問題となっている.我々は「病原微生物は免疫細胞から攻撃されると,生き残るために休眠遺伝子を活性化し,免疫抑制化合物を産生するのでは」と仮定し,病原放線菌と免疫細胞の共培養法を世界で初めて開発し,新規化合物の取得に成功した.また,このような,宿主への感染を容易にする化合物の産生能力の獲得はある種の進化の結果とも捉えられ,我々はこれを「浸潤進化」と呼ぶことにした.本研究の概要は,「病原微生物と動物細胞の共培養法」による休眠遺伝子活性化を用いて,「浸潤進化」と名付けた現象を化合物の観点から明らかにする研究である.
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研究実績の概要 |
放線菌や真菌の二次代謝物は医薬品として有用であるが,近年では新規化合物の取得が減少し,問題となっている.我々は「病原微生物は免疫細胞から攻撃されると,生き残るために休眠遺伝子を活性化し,免疫抑制化合物を産生するのでは」と仮定し,病原放線菌と免疫細胞の共培養法を世界で初めて開発し,新規化合物の取得に成功した.また,宿主への感染を容易にする化合物の産生能力の獲得はある種の進化の結果とも捉えられ,我々はこれを「浸潤進化」と呼ぶことにした.本研究では,「病原微生物と動物細胞の共培養法」による休眠遺伝子活性化を用いて,病原真菌より新規化合物を得るとともに,免疫抑制に関わる生物活性を評価し,微生物が有する「浸潤進化」の解明に挑む.微生物がどのような機構で休眠遺伝子を活性化するのか,産生された化合物は病原性と関わりがあるのか,「浸潤進化」と名付けた現象を化合物の観点から明らかにすることを目的とする. これまでに病原真菌15種19株と免疫細胞の共培養を行い2組において共培養特異的に生産される代謝物計4個を検出した.Aspergillus terreusとTHP-1 (ヒト単球性白血病細胞THP-1) との共培養によりbutyrolactone Ⅰ 類縁体を単離し,butyrolactone Ⅰa (1) と命名した.1は炎症応答の指標である一酸化窒素 (NO) の産生を抑制した.また,透析膜により細胞と菌を物理的に遮断して培養しても1の産生が見られなかったことから,THP-1細胞との物理的相互作用が1の生成に必要である可能性が示唆された.一方で,Aspergillus fumigatusとRAW264 (マウスマクロファージ様細胞)との共培養では,天然物としての報告は初であるfumigatinolactone (2)を単離した.現在は2の産生メカニズムの解明に取り組んでいる.
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