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20世紀フランス文学における「言語不信」論とその展開:戦間期を起点として

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ2734
補助金の研究課題番号 22J00617 (2022)
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金 (2023)
補助金 (2022)
応募区分国内
審査区分 小区分02040:ヨーロッパ文学関連
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

渡辺 惟央  慶應義塾大学, 文学部(日吉), 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード言語不信 / ジャン・ポーラン / ブリス・パラン / アルベール・カミュ / シュルレアリスム
研究開始時の研究の概要

本研究は、20世紀前半のフランス文学に見られた「言語不信」をめぐる論争について、社会状況との関連などを踏まえつつ、その文学史的意義を検証することを目的とする。期間全体での主な研究対象は、1930年代からこの論争を牽引した作家・批評家ジャン・ポーランと哲学者・批評家ブリス・パランの著作群、そしてそれらに対する反響である。彼らの著作の刊行形態、刊行時の社会状況、言及されている政治的事件などに着目する歴史的アプローチをとる。彼らと周辺の知識人たちが共有していた争点を抽出することにより、戦間期(1919-1939年)に始まるフランス文芸批評の変容を示すことが課題となる。

研究実績の概要

2回のフランス現地調査と、2回の口頭研究発表をおこなった。これにより資料の収集、整理、分析を予定通りのペースで進めることができた。また具体的な成果として、2点の論文を年度内に発表し、また1点の書評をフランス現地の研究誌に掲載した。
・第一回現地調査(2023年8月15日~9月3日)では、メジャーヌ図書館(エクス)を訪問し、ジャン・ポーラン、ブリス・パラン、アルベール・カミュ等の未発表原稿、書簡を閲覧した。またフランス国立図書館(パリ)では、ブリス・パラン・アーカイブを訪問し、未整理資料の全容とその概要を確認した。今後の研究計画を進める上でも重要な調査を行うことができた。
・第二回現地調査(2024年2月26日~3月14日)では、引き続きフランス国立図書館(パリ)にてブリス・パラン・アーカイブの調査を進めた。また現地研究者との打ち合わせの中で情報提供を受け、パリ市内の二つの資料館(ユマテック資料館、ラ・コンタンポレーヌ資料館)を追加で調査した。その結果、ポーランとパランがガリマール社の編集者名義で残した多数の新資料を発見した。これは今後の作家研究、また20世紀フランス文学・出版史研究にとっての重要な発見であり、本出張の大きな成果である。
・以上の調査内容を踏まえて文学・批評作品の分析を進め、ポーランとパランについて口頭発表と論文発表を行った。両者を直接比較する世界的にも類例のない研究であり、今年度の中心的成果と言える。他方で、彼らの著作が同時代に有していた政治的、イデオロギー的な位置づけについては踏み込んで論じることができなかった。この点については、次年度以降に取り組む課題としたい。
・こうした作業と並行して、フランスにおける言語不信の言説を活気づけたニーチェ、カフカの受容についても検討を行い、論文や書評の形でまとめられたことは、本研究を補強する貴重な成果である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

計画通り2回の出張調査を実施したほか、その調査内容に基づいた研究報告・成果発表を行うことができた。また、調査中に新資料を発見したことは、本研究が当初期待していた以上の広汎な成果をもたらし得ることを示唆しており、その点で想定以上の進展があったと言える。総じて、年度内に調査・分析・議論のプロセスを円滑に、かつ充実した形で進められたことは期待以上の成果であった。

今後の研究の推進方策

現地調査については、当初予定より多くの資料館を訪問する必要が生じたため、出張調査計画の調整と拡張を予定している。具体的には、ラ・コンタンポレーヌ資料館、コレージュ・ド・フランス資料館、トゥルゲーネフ・ロシア図書館(いずれもフランス・パリ)、仏語視聴覚資料館(フランス・リモージュ)での調査を追加作業として実施する。ジャン・ポーラン、ブリス・パラン、アルベール・カミュ、デュオニス・マスコロらがガリマール社の編集者名義でやり取りした往復書簡(主に1930,40年代)と、彼らが関与した翻訳・編集・出版に関する記録資料を、各資料館のアーカイヴの中から収集する予定である。
成果発表については、言語不信にかかわる研究書の刊行(2024年度内予定)に向けた執筆・準備作業を本格化させる。この出版に関わる資料についてはすでに調査済みであるが、資料の最終確認の作業や、引用・出版についての最終的な許可を得るための打ち合わせのため、メジャーヌ図書館(エクス)に出張予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 犬のように死んだのは誰か:カミュ「カフカ作品における希望と不条理」へのノート2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺惟央
    • 雑誌名

      現代思想 2024年1月臨時増刊号 総特集=カフカ

      巻: 51 ページ: 188-199

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 【書評】Compte-rendu "Gilbert MERLIO, Sisyphe et le Surhomme : Camus sur les traces de Nietzsche, R&N EDITIONS, la Murette, 2022".2023

    • 著者名/発表者名
      Io WATANABE
    • 雑誌名

      Presence d'Albert Camus

      巻: 15 ページ: 150-153

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] ジャン・ポーランとブリス・パラン:「言葉の力」をめぐって2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺惟央
    • 学会等名
      シンポジウム「レトリックとテロル:ジロドゥ/サルトル/ブランショ」
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] カミュにおける言語の問題(1931-1951年)- 博士論文のまとめと今後の課題 -2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺惟央
    • 学会等名
      日本カミュ研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] レトリックとテロル2024

    • 著者名/発表者名
      澤田直+ヴァンサン・ブランクール+郷原佳以+築山和也(編)
    • 総ページ数
      304
    • 出版者
      水声社
    • ISBN
      9784801008014
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-28   更新日: 2024-12-25  

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