研究課題/領域番号 |
22KJ2735
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補助金の研究課題番号 |
22J40065 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分90010:デザイン学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
三好 賢聖 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | デザイン / 呼吸 / 身体感覚 / からだメタ認知 / リサーチ・スルー・デザイン / ベルクソン / マルチタイムスケール / プロトタイピング / 詩学 |
研究開始時の研究の概要 |
身体性認知科学や身体感性論など、身体性に関する様々な知識や理論体系が蓄積される一方、それらの知見がデザイン教育に十分に活用されていないという現状がある。本研究は、身体感覚の探索がデザイン教育において如何なる有用性をもち得るかを明らかにする。また、身体性を主軸としたデザインカリキュラムの設計論を構築する。
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研究実績の概要 |
令和5年度の実績について、理論面と実践面について記す。 理論面は、アンリベルクソンの時間哲学に関する調査を昨年度に引き続き行った。平井靖史の拡張ベルクソン主義、特にマルチタイムスケール理論が本研究に関連する。具体的には、時間を一本の線として捉えるのではなく、大小様々なスケールの時間軸が重なり合っているという時間構造の解釈は、人間と人工物との間のインタラクション、その間に起こる人間の知覚と認知、そして身体的経験の時間的変容について考える上で、重要な枠組みを提供している。デザイン領域において発展が期待されるこうした時間論について、同様の問題意識を共有する平井、小林茂らと共に議論し、今後の課題や可能性について共有する機会を得た。 実践面に関しては、前年度から着目する呼吸という身体動作にはたらきかける人工物の設計開発、および検証を行った。日常生活における呼吸の息苦しさ(例えば、スマホやパソコン画面を見る際に呼吸が乱れてしまう「スクリーン無呼吸症候群」)や快感に着目し、その原因や様相について、自ら省察と言語化を通じて明らかにするというアプローチ(からだメタ認知)を取っている。調査を通じて、日常の中の息苦しさを改善するための仕組みの検討も行う。運動や演奏など、特定の状況でのみ生まれる動作と異なり、呼吸は常に行っている。そのため、具体的にどのような状況の動作を研究対象とすべきか、またそのような動作が出現したことをどう自覚するか、そしてその刹那的な身体動作をどう記述するかという課題に直面した。こうした日常的な動作についてからだメタ認知を行うことの難しさは、受入研究者による先行文献においても指摘されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度研究では、呼吸感覚について自覚し、記述するという試みを行う中で、呼吸感覚に注意を向けるということ辞退が、日常的な息苦しさを改善する可能性があるということがわかった。そうした発見を通じ、特に呼吸が乱れやすいと三好が考えるパソコン作業中に、時折呼吸について意識を向け、整えることを助ける人工物を考案し、設計開発を行った。プロトタイプは三好本人および他の協力者による利用・検証を行うなかで、日常的呼吸に関する新たな課題や様相が明らかになった。身体感覚に関する知見と、人工物が共創的に生まれるという、研究計画作成時に構想した発展がようやく垣間見えたといえる。プロトタイプが一定のレベルまで開発できたため、将来的な産業での応用を見据え、開発成果物に関する意匠や設計工夫に関して、意匠権を申請・取得、特許権を出願しており、研究成果が徐々に具体化しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、プロトタイプの試作改良および日常的呼吸に関する更なる知見の獲得を目指す。マルチタイムスケール理論による、身体感覚の変容についてもモデル化することを目指す。また、身体感覚の探究においては、これまで主観的なアプローチに重点を置いてきたが、2024年度は生理学的な計測も交え、定性・定量データを組み合わせた研究に着手することも視野に入れる。
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