研究課題/領域番号 |
22KJ2742
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補助金の研究課題番号 |
22J30002 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
藤井 靖之 芝浦工業大学, SIT総合研究所, 研究員
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | カテキンオリゴマー / 認知機能 / 青斑核-ノルアドレナリン作動性神経網 / TRPチャネル / 青斑核 / ノルアドレナリン |
研究開始時の研究の概要 |
我が国をはじめとする先進国では少子高齢化が進み、様々な社会問題が表面化している。その一つは生産人口の減少であり、生涯現役社会を構築するために、汎用性が高く安全で新しいリソースが必要とされている。本研究では“脳機能改善食品”として高いポテンシャルを有するポリフェノールを用いて、実験動物における認知機能への有効性を確認し、その作用メカニズムを解明する。本研究の成果は、認知症やうつ病などの多くの中枢神経疾患の予防・治療に応用が期待されることから医学生理学的だけでなく、社会経済学的にも大きな価値を生む。
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研究実績の概要 |
本研究では、①認知機能低下モデル動物におけるカテキンオリゴマーの有効性を確認し、②そのメカニズムを解明することを目的としている。 ①当該年度では、カテキンオリゴマーによる認知機能向上作用にTRPチャネルが関与しているかどうかについて検証を進めた。カテキンオリゴマー単回経口摂取1時間後に認知機能に深く関与していることが知られているBDNFタンパクの発現が上昇し、新規物体認識試験においてスコアが向上することが認められた。次にTRPV1-/-マウス及びTRPA-/-を用いて、同様の実験を行いカテキンオリゴマーの作用発現にTRPチャネルが関与しているのか検証することを目的に、まずTRPV1-/-及びTRPA1-/-マウスの行動様式が正常マウスと異なるのかオープンフィールド試験を用いて観察したところ、TRPV1-/-マウスは通常動物より行動量が多いことが確認された。これについて日本フードファクター学会で筆頭、日本カテキン学会で共著として発表した。
②イメージング質量分析法を用いた脳内神経伝達物質の局在を観察した実験において、これまで定量化が困難だったが、MSスペクトルのintensityから定量する方法を確立した。これまでに通常動物においてイメージング質量分析法を用いて脳内ノルアドレナリンシグナルを観察したところ、カテキンオリゴマーの渋味刺激が青斑核に入力され、ノルアドレナリンが視床下部と脳幹に投射されることを見出した。TRPチャネル-/-マウスにおいて、平常時の脳内ノルアドレナリンシグナルを観察したところ、通常動物よりノルアドレナリンシグナルが多く観察された。これらの結果を日本ポリフェノール学会で筆頭として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
正常マウスとTRPチャネル-/-マウスを比較すると、脳内ノルアドレナリンシグナルの強度やオープンフィールド試験における行動量など異なる点が確認された。TRPチャネル-/-マウスの性質を確認するために、計画より時間を要したが、その他各種実験における定量法など解析において想定よりも早く、かつ精度良く開発できたため、全体的に見ると概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後はこれまでに通常動物で認められたカテキンオリゴマーの単回摂取による認知機能向上作用がTRPチャネル-/-マウスにおいて消失するのかどうか検証を進める。また、TRPチャネル-/-マウスにおいてイメージング質量分析法を用いて、正常動物で確認されたカテキンオリゴマーの摂食刺激によるノルアドレナリンの変動が消失するのかどうか定量的に検証する。
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