研究課題/領域番号 |
22KJ2747
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補助金の研究課題番号 |
21J00529 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 早稲田大学 (2023) 上智大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
峰 正博 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 助教
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ゼータ関数 / L関数 / 値分布 / フルヴィッツゼータ関数 / 確率論的モデル / 普遍性 / 代数的無理数 / 対称積L関数 / M関数 / 保型L関数 / リーマンゼータ関数の対数の反復積分 / 極値分布 |
研究開始時の研究の概要 |
ゼータ関数やL関数は整数論における主要な研究対象の一つである.本研究は,主として保型L関数と呼ばれるL関数の枠組みにおいて,その値の振る舞いを確率論的な解釈に基づいて理解することを目的としたものである.具体的には,保型L関数の値が種々のパラメータに依存してどの程度大きくなり得るかという問題に対して,その割合をある種の漸近等式の形で示すことを目標に,確率論における大偏差理論の観点から考察を行う.
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研究実績の概要 |
本研究は,ゼータ関数やL関数と呼ばれる一連の関数について,その値の振る舞いを確率論的な解釈に基づいて理解することを目的としたものである.とくに本年度は代数的無理数をパラメーターに持つフルヴィッツゼータ関数を対象に,普遍性と呼ばれる性質の研究を実施した.昨年度までの研究により適切な確率論的モデルの理論の構築が完了しており,本年度は関数空間論や複素解析学等の手法を用いて,目標とする普遍性にどの程度近づくことができるか検討した. 主要な研究成果としては,有限個の代数的無理数を除く形の,フルヴィッツゼータ関数の弱い普遍性を証明することに成功した.またこの結果を応用して,フルヴィッツゼータ関数が臨界帯内に無限個の零点を持つような代数的無理数パラメーターが無限個存在することを導いた.これらの結果は,代数的無理数をパラメーターに持つフルヴィッツゼータ関数に対する,確率論的なアプローチに基づいた実質的に最初の成果と言える.今後はパラメーターの例外集合の制御や別手法の検討などによって,完全な形の普遍性の証明に向けた手掛かりが見つかることを期待したい. 本年度は研究の最終年度であり,これまでにはフルヴィッツゼータ関数以外にも,楕円カスプ形式に付随する保型L関数やその対称積L関数,リーマンゼータ関数の対数の反復積分で与えられる関数などについて値分布の研究を行ってきた.とくにM関数と呼ばれる確率密度関数の構成や,関数の値がどの程度大きくなり得るかに関する極値分布の考察,あるいは上述の普遍性に関する成果が得られた.いずれの成果も,ゼータ関数やL関数の値分布を確率論的に考察するという本研究の方針の有効性がはっきりと現れたものであり,今後のさらなる研究の発展にも期待が持てる.
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