研究課題/領域番号 |
22KJ2762
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補助金の研究課題番号 |
20J01464 (2020-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2020-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 一橋大学 (2023) 専修大学 (2020-2022) |
研究代表者 |
遠山 朝子 (2020-2021, 2023) 一橋大学, 大学院ソーシャル・データサイエンス研究科, 特任助教
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特別研究員 |
遠山 朝子 (2022) 専修大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 806千円 (直接経費: 620千円、間接経費: 186千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 強化学習モデル / 忘却過程 / 計算論的精神医学 / 計算論モデル / 意思決定 / 精神障害 / 信頼性 / 計算機シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
様々な精神障害に特有の情報処理過程を解明するツールとして,強化学習モデルが広く研究で使われており,精神障害の予測・介入に大きな期待が寄せられている。一方で,従来使われているモデルは忘却などの現象が無視されており,こうしたモデルを使った潜在パラメータの推定には問題があった。そこで本研究では,忘却過程を取り入れたモデルを使って精神障害に特有の情報処理過程を捉え直すことを目的としている。 本研究の前半では,WEB上での実験で取得した大規模データをもとに,実験課題やモデルの基本的な精度を向上させる。研究の後半では,それらの課題とモデルを用いて,精神障害の理解に向けた実験を実施する。
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研究実績の概要 |
本研究は,忘却過程(学習した価値がデフォルトに回帰する過程)の個人差を抽出するのに特化した選択課題と計算論モデル(強化学習モデルなど)を用いて,うつなどの精神障害を特徴づけることを目的としていた。
本年度は4月より研究再開準備支援期間として研究を再開した。まずは,昨年度Computational Brain & Behaviorに投稿していた論文の査読結果が返ってきていたため,再投稿に向けてデータの再解析,計算機シミュレーションの追加,論文の全体的な構成変更など,改稿準備を集中的に行った。この論文は,強化学習モデルのパラメータの性質についてまとめたものであるが,改稿では,モデルパラメータの再テスト信頼性の問題について特に深く検討した。信頼性の問題は計算論モデルの臨床応用に向けても重要な課題である。質問紙スコア等と比べて信頼性が低いこととパラメータ間における安定性の違いについて議論した。これは5月に再投稿をし,受理された。 その後は,昨年度までの実験結果も含めてデータの整理を進め,9月に日本心理学会第87回大会のシンポジウムで発表した。この発表に際し,うつ病と関係の深い反芻について,ベイズの定理を用いたシミュレーションにも取り組み,そこに忘却過程を取り入れることを試みた。
研究期間全体を通して,忘却過程と精神疾患の関係についての理解が深まった。オンラインで取得した大規模データからは,特に,忘却率の高い個人はうつの傾向やストレスが高く,楽観性が低いといった重要な知見を得ることができた。また,計算機シミュレーションにより,高い忘却率が反芻につながる可能性も見出した。
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