研究課題/領域番号 |
22KJ2769
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補助金の研究課題番号 |
21J22331 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分20010:機械力学およびメカトロニクス関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
伊藤 文臣 中央大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2022年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2021年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 外骨格の弾性要素 / 空気圧人工筋肉 / モンハナシャコ / 生物模倣 / ソフトアクチュエータ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,生物にみられる外骨格の弾性要素を規範とし,空気圧人工筋肉の拮抗関節に弾性要素を取り入れることで,瞬発的な動作が可能であり,コントローラブルな高応答人工筋肉機構を構築する.まず本研究の根幹となる高応答人工筋肉機構の静的および動的モデルを構築し,実機によりモデルの妥当性を検討する.次に,構築したモデルより筋肉と外骨格ばねの剛性や粘性,力の発生タイミングを設計パラメータとし,拮抗駆動と瞬発的駆動の観点から応用先の環境に適した高応答人工筋肉モジュールの設計論を構築する.さらに,構築した設計論をもとに,水の抵抗や浮力,水の相変化を考慮した水中における高速駆動ロボットを開発する.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,シャコやバッタにみられる外骨格ばねの要素を模倣することで,高応答性と高出力密度,コンプライアンス特性を兼ね備えた高応答人工筋肉駆動機構の設計論を確立することである.本研究では,1年目に外骨格ばねと人工筋肉の複合力に基づく打撃機構のモデルを構築する.2年目に,打撃機構に取り入れた2種類の外骨格の弾性要素に関する多目的最適設計論について,1年目に構築したモデルをもとにまとめる.3年目に,2年目に構築した設計論に基づいたモンハナシャコの打撃動作を規範とした打撃ロボットの開発をする. 1年目では,モンハナシャコにみられる2種類の外骨格の弾性要素と空気圧人工筋肉の複合力を考慮に入れた打撃機構のモデルを構築した.さらに,2種類の外骨格の弾性要素の有無による打撃機構の動作をシミュレーションから推定した.また,このモデルの妥当性を検証するため,開発した実機による打撃実験を行った. このシミュレーションと実験の結果から,2種類の外骨格の弾性要素が打撃動作に対して異なる作用をすることが明らかとなった.一方の外骨格の弾性要素は,空気圧人工筋肉と同方向へのトルクを発生することで打撃の効果を高め,一方の外骨格の弾性要素は空気圧人工筋肉の収縮応答を補うことで,打撃の効果を高めた.以上の結果から,あるコンプライアンス特性を有する空気圧人工筋肉に対して,打撃効果を高めるための2種類の外骨格の弾性要素に適切な組み合わせが存在することが明らかとなった.以上の結果をもとに,今後の研究では,2種類の外骨格の弾性要素の適切な組み合わせに関する多目的な最適設計論についてまとめた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに,打撃に対して異なる作用をする2種類の外骨格の弾性要素を規範とした弾性要素(モンハナシャコに特有の弾性要素)を,空気圧人工筋肉の拮抗関節に取り入れた打撃機構のモデルを構築した.さらに,構築したモデルを用いることで,機構の動作シミュレーションを行った.このシミュレーションでは,空気圧人工筋肉により弾性要素にエネルギが蓄積されるプリロードフェーズと,外骨格の弾性要素と空気圧人工筋肉の発生力によりアームが打ち出されるアンロードフェーズに分けた.これより,弾性要素の追加によるエネルギ蓄積への影響についても明らかとした.また,開発した実機において,2種類の外骨格の弾性要素の有無により比較を目的とした打撃実験より,シミュレーションの妥当性を示し,それぞれの外骨格の弾性要素が打撃に与える影響について明らかとした.以上のように,モンハナシャコにみられる2種類の外骨格の弾性要素を有する打撃機構のモデル構築とその妥当性の検証,さらにモンハナシャコの打撃動作を規範とした打撃機構の具現化を達成した.以上のように,当初の研究計画の通り,研究が遂行された.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究において,適用する2種類の外骨格の弾性要素にはある空気圧人工筋肉に対して適切な組み合わせがあることが明らかとなった.また,外骨格の弾性要素に蓄積されたエネルギが打撃において効率よく出力されるために,空気圧人工筋肉の特性を考慮に入れた形で,外骨格の弾性要素の設計をする必要がある. したがって,今後の研究では,2種類の外骨格の弾性要素を空気圧人工筋肉の特性を考慮に入れ,適切な組み合わせでの設計するための多目的な設計論を構築する.1年目では外骨格の弾性要素の有無にのみに着目して,その打撃動作の傾向をシミュレーションと実験から検証した.一方で,今後の研究では,2種類の外骨格の弾性要素の弾性係数やアームの質量などをパラメータとして,打撃の効果を高めたり,打撃に要する時間を最小化したりする多目的なパラメータを設計するための設計論の構築をする.設計手法の構築にあたっては,1年目に構築したモデルをもとに,パラメータを変化させた場合の打撃機構の動作をシミュレートして,打撃速度が最大化される弾性要素のパラメータや打撃に要する時間を最小化するような2種類の弾性要素の組み合わせについて設計論をまとめる.
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