研究課題
特別研究員奨励費
令和3年度は、研究計画の倫理申請、現地での調査(ケニア農村2地域の5歳未満児およびその保護者(計約200ペア)を対象。食事調査(24時間思い出し法と申請者が新たに開発した食物摂取頻度調査票)・身体計測・質問票調査(経済状況等))を実施した。研究滞在の準備も行った。令和4年度は、収集されたデータの入力(栄養計算等)、データのまとめ、成果発表等を行った。9月より現地へ渡航し、調査の最終モニタリング調査を実施した。令和5年度は、データ解析、成果の還元、論文の執筆を行う。対象集団・対象地域の栄養士等に向け、栄養改善・食事改善のための提案を行うことでフィールドへの還元を目指す。
〇令和5年度は、以下の進捗があった。1.令和3~4年度にかけて収集した食事データと身体計測データの解析を進めた。1-a. 母子間での食事摂取状況は相関するが、子どもの方が相対的に微量栄養素摂取の適切性が高いことをまとめ、論文として発表した。1-b. 子どもの発育阻害と成人女性(多くは母親)の過体重および肥満の世帯内栄養不良の二重負荷を評価し、農業生態系の異なる2地域間で割合が異なることの要因を検討した。子どもの発育阻害は地域にかかわらず乳製品摂取が少ないことが要因として挙げられ、その社会経済的格差が地域間で異なることが示唆された。成人女性の過体重および肥満は、地域にかかわらず、裕福な世帯で小麦製品など購入食品の摂取が多いことが要因として挙げられた。環境的な違いが、食事摂取の社会経済的格差の違いに影響していることが示唆された。2.前年度に解析をした食物摂取頻度調査(FFQ)の妥当性について、成果の発表を行った。〇研究期間全体を通じて、ケニア農村部における世帯内二重負荷の実態として、環境の異なる2地域(湿潤地域と半乾燥地域)を比べると湿潤地域の方が二重負荷のリスクが高いことが示唆された。両地域とも砂糖や小麦製品を頻繁に購入し、栄養価の高い動物性食品の購入・摂取が少ないことが課題として挙げられ、栄養教育と行動変容の重要性が示唆された。今後、妥当性検証済みのFFQで収集した約400世帯の食事や農業生物多様性、社会経済的な世帯情報の解析を進め、食事の質に関連する因子を検討し、持続的で効果の高い介入策を検討するなど研究の展開が必要である。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
Tropical medicine and health
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