研究課題/領域番号 |
22KJ2800
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補助金の研究課題番号 |
21J22295 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
荒崎 恭弘 東京理科大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 破骨細胞 / 骨代謝 / RNA結合タンパク質 / 転写後調節 / スプライシング / mRNA安定性制御 / 液液相分離 / ポリA鎖 / mRNA安定性 / 核内構造体 / 選択的スプライシング |
研究開始時の研究の概要 |
選択的スプライシングやmRNAの安定性・翻訳制御を含む、転写後調節を介した破骨細胞分化制御機構はほとんど未解明である。申請者らは、CPE配列を含むmRNAに結合する、RNA結合タンパク質Cpeb4が、破骨細胞マスター転写因子である、Nfatc1のmRNA安定化や間接的な転写を促進することで、破骨細胞分化を促進することを明らかにした。しかしながら、Cpeb4の標的因子や骨代謝における機能は不明である。本研究では、Cpeb4によるNfatc1制御の詳細なメカニズム解明を行うとともに、遺伝子欠損マウスを解析することで、破骨細胞分化や骨代謝におけるCpeb4の機能を明らかにする。
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研究実績の概要 |
Cpeb4はポリA鎖の伸長に関与し、スプライシングやmRNA安定性制御を担う因子である。これまでに、Cpeb4が破骨細胞分化過程で核内構造体を形成しスプライシングを制御する可能性を見出した。また、Cpeb4は破骨細胞分化前におけるNfatc1転写を間接的に制御することを見出したが、Cpeb4標的遺伝子や、転写後調節の詳細については不明であった。RNA-seq解析の結果、Cpeb4抑制により細胞周期が亢進する一方、スプライシング因子の発現がわずかに上昇した。破骨細胞分化関連遺伝子のスプライシングバリアント解析の結果、Cpeb4抑制により分化抑制因子Id2のイントロンを含む異常なスプライシングバリアントが増加した。以上より、Cpeb4は破骨細胞分化過程でスプライシングを部分的に制御する可能性が示唆された。RNA免疫沈降-seq解析を実施し、Cpeb4の標的候補遺伝子として127遺伝子を同定した。それらの多くは、「多核破骨細胞分化」や「MAPK経路制御」に関与した。これらの経路に属し、Nfatc1転写を担うFosl2に着目した結果、Cpeb4抑制により、Fosl2のポリA鎖長が減少し、mRNA安定性が減少した。以上より、Cpeb4は少なくともFosl2のポリA鎖伸長を介したmRNA安定化を担うことで間接的にNfatc1を制御する可能性が示唆された。最後に誘導性の全身Cpeb4 KOマウスを作製した。Cpeb4 KOメスマウスで骨量に顕著な差は見られなかったが、卵巣摘出(OVX)による閉経後骨粗鬆症モデルでは、Cpeb4 KOマウスでは骨量減少に対する抵抗性を示した。また脛骨における組織学的解析により、閉経後骨粗鬆モデルにおいて、Cpeb4 KOで破骨細胞数は減少し、骨芽細胞数は変化しなかった。本研究により、Cpeb4が破骨細胞分化制御を介して骨代謝を制御することが明らかになった。
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