研究課題/領域番号 |
22KJ2830
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補助金の研究課題番号 |
22J20335 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分64040:自然共生システム関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
橋詰 茜 日本大学, 生物資源科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 生態系サービス / スカベンジング / 動物死体 / 自動撮影カメラ / 生物間相互作用 / モンシデムシ / クロバエ / 食肉目 |
研究開始時の研究の概要 |
死肉食者による動物死体の除去は,人間が健康な生活を営むうえで欠かせない生態系サービスの一つである.本研究では,人への感染リスクが高い病原菌を簡便かつ高感度で検出できる食品衛生用の検査キットを活用し,人為的な環境改変による死体利用者の変化が,病原菌の蔓延リスクの低減という生態系サービスに対してどのような影響をもたらすのかを定量的に評価する.さまざまな景観において,1)死体除去機能を果たしている動物種の特定及び処理速度の評価,2)死体周辺への病原菌拡散量の定量化,3)階層ベイズモデルによるこれらの結果の統合に取り組み,人為攪乱に対して脆弱なモンシデムシ類による特異的な貢献を明らかにする.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,人為的な環境改変による死体利用者の変化が,病原菌の蔓延リスクの低減という生態系サービスに対してどのような影響をもたらすのかを定量的に評価することである.人への感染リスクが高い病原菌を簡便かつ高感度で検出できる食品衛生用の検査キット「ペトリフィルム培地」を活用し,さまざまな景観において,1)死体除去機能を果たしている動物種の特定及び処理速度の評価,2)死体周辺への病原菌拡散量の定量化,3)階層ベイズモデルによるこれらの結果の統合に取り組み,人為攪乱に対して脆弱なモンシデムシ類による特異的な貢献を明らかにする. 本年度は,死体除去機能を果たしている哺乳類種を特定するために,2023年7月と9月に房総半島南部地域において現地調査を行った.先行研究を参考にして,前年度設置したカメラ地点のうち,半径300m以内の森林面積が80%以上の場所と80%未満の場所をそれぞれ計25地点ずつ選択した.各地点に自動撮影カメラ2台と実験用マウスの死体を設置し,タイムラプス機能を利用して10分間隔で継続的に監視した.この結果,大部分の死体は,イノシシ,タヌキ,ハクビシンなどの哺乳類によってすみやかに除去されていた.カメラで撮影されたデータからモンシデムシ類による死体利用も観察できたが,埋葬処理の過程で哺乳類に死体を奪われてしまうこともあった.また,予備調査から,予想に反してモンシデムシ類は森林面積の影響をあまり受けていない可能性も出てきた.これらの当初の想定とは異なる観察結果を踏まえつつ,現在統計解析を進めているところである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していたとおりの規模で現地調査を2回実施できた点は順調であるが,部分的に予想に反する結果が得られたこと,フィールドで病原菌の蔓延リスクを評価するためのサンプリングができなかったことからやや遅れていると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,夏季に現地調査を実施し,「2)死体周辺への病原菌拡散量の定量化」に関するデータを取得する.また「3)階層ベイズモデルによるこれらの結果の統合」を同時並行で進めていく.順調に進んだ際には,学会で成果を報告し,論文化を進める予定である.
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