研究課題/領域番号 |
22KJ2831
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補助金の研究課題番号 |
21J40112 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分38060:応用分子細胞生物学関連
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
小林 啓子 日本女子大学, 理学部, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 葯 / タペータム / エライオプラスト / プラスチド / ステロールエステル / ポーレンコート / 花粉 / ステロール / イソプレノイド |
研究開始時の研究の概要 |
疎水性の物質であるステロールは一般的に小胞体で生合成されると考えられている。しかし、花粉を覆うポーレンコートの原料を供給するタペータム細胞では、ステロールがプラスチド由来のオルガネラであるエライオプラスト内の脂質顆粒に蓄積する。このことは、小胞体からエライオプラストへ代謝中間体を輸送し、プラスチド内でステロールを生合成する仕組み、又は、小胞体でステロールを生合成し、ステロール骨格形成後にエライオプラストに輸送する仕組みの存在を意味する。本研究では、どちらの仕組みが存在するのかを検証するために、シロイヌナズナのステロール生合成に関わる変異体を用いて、細胞生物学的な解析を行う。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、小胞体で作られるはずのステロールエステルが色素体由来のオルガネラであるエライオプラストに蓄積するタペータム細胞に着目し、植物のオルガネラ間ステロール輸送がどのように行われているのか、形態面から明らかにすることを目指した。この目的を達成するために、膜の観察に適した化学固定法と生体内に近い構造を観察出来る加圧凍結固定法を併用して、野生型とステロール生合成異常変異体の葯の発達過程におけるTEM像を新たに取得した。これまでタペータム細胞で膜構造の詳細を把握出来るTEM像を得ることは難しかったが、固定剤などを工夫した化学固定によって、小胞体膜やエライオプラストの内膜構造をより鮮明に観察することに成功し、小胞体膜と色素体膜に密接な接触があることを発見した。最終年度はこの接触が一点のみではなくある程度の領域で見られることを明らかにした。また、内包膜から伸びた内膜構造にステロールエステルの蓄積部位と考えられる内部顆粒が形成される様子、内膜構造と内包膜、内部顆粒間に繋がりがある様子などを捉えた。一方変異体では内部顆粒が潰れるのみでなく、それに繋がる内膜構造に異常が現れることから、この内膜構造はステロールエステルの内部顆粒への蓄積に重要であると思われた。これら一連の構造は加圧凍結固定法でも同様に確認しており、ステロール輸送マシナリーであると考えている。さらにタペータム細胞では、ステロール骨格形成が実際にどのオルガネラで行われるのか調べるために、GFP蛍光を用いた細胞内局在解析も行なった。最終年度ではステロール骨格生合成酵素のN末端にGFPを融合したタンパク質が、葉緑体の内部もしくは周辺に局在するように見える驚くべき結果を得た。これは本研究で得た結果と合致するものの、ステロール生合成は全て小胞体で行われるという今までの常識を覆す結果であり、今後慎重に再現性の確認を行う予定である。
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