研究課題/領域番号 |
22KJ2880
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補助金の研究課題番号 |
21J20393 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分22040:水工学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
稲垣 直人 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 風洞水槽 / PIV解析 / 越波流量 / 風波 / 越波 / 沿岸災害 / 台風災害 / 強風 / 有限体積法 |
研究開始時の研究の概要 |
高波浪時に海水が海岸構造物を越える越波現象について、沿岸域の強風の影響は小さいと考えられてきた。しかしながら、非常に強い風を伴った2019年の台風15号による横浜市福浦海岸の局所的な破堤と越波・浸水被害は、大きな運動量をもつ波が大規模な水害をもたらす可能性を示唆するものであった。将来気候において台風の強度が増加する可能性を考えると強風条件下における高波・越波という現象を捉え直す必要性に迫られている。
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研究実績の概要 |
本研究は沿岸域の強風によって鉛直壁の越波現象が強まるメカニズムに迫るものである。2021年度の数値モデルによる検討では、高風速時の砕波の挙動が捉えきれず、越波流量の再現性に課題を残した。既往研究では、風の作用によって砕波形態が変化するという報告があるものの、流速分布に注目した議論が不足している。 そこで、2022年度は、水理実験を通して、特に越波の素過程となる砕波や打ち上げ水塊について、PIV解析を用いて流速分布に注目した検討を行うことを目的とした。2022年度前期は新潟大学と共同研究を行い、新潟大学工学部の所有する風洞水槽にて、越波実験およびPIV解析を行った。無風状態と比較すると、有風時の越波流量は概して増加することが明らかになり、入射波の波形勾配に対する増加の程度の傾向を捉えることができた。PIV解析では、風が砕波形態・砕波位置を変化させることがわかり、越波水塊が風によって輸送されることが明らかになった。これらの事実は、一連の現象の本質が、風による水塊の質量輸送にあると示唆している。これは2021年度の数値モデルによる検討で得た考察と一致している。 また、鉛直壁で反射された波と入射波が形成する部分重複波の頂部が風でちぎられて陸域に輸送される様子を観察した。これは、ある程度の大きさをもつ水塊が構造物を従来の越波現象とは別のメカニズムで陸域に到達する可能性を示唆している。この研究の着想の基礎となった2019年台風15号による福浦海岸の越波・浸水被害では、海岸線から離れたところに水塊が飛来した痕跡が見られた。構造物あるいは部分重複波として打ち上がった水塊が風で輸送されたと考えれば、この痕跡を説明できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2021年度に水理実験の内容について、共同研究先の新潟大学と綿密に打ち合わせていたため、2022年度4月から開始した水理実験は当初の想定を上回るペースで実施することができた。懸念点であった人手も新潟大学の学生の援けにより解消した。機材の設置に関しては実験水槽の物理的な制約が問題となったが、利用可能な資材を組み合わせることで最終的には上手く実験を進めることができた。この実験結果は当該分野で最大規模の国際会議での口頭発表に採択され、会場では特に欧州の研究者・技術者からの質問を多く受け、有意義な議論を行うことができた。これらの成果を踏まえ、国際学術雑誌にフルペーパーを投稿し、現在査読審査中である。 以上のように、予定していた実験を想定以上のペースで進めることができ、さらにその内容について多くの海外の研究者・技術者と議論できたことは望外の成果である。よって、本年度の状況を「当初の計画以上に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
数値解析と水理実験の両方にそれぞれ課題がある。 数値解析では、水理実験で得られた砕波や打ち上げ水塊の速度場を再現することが重要になる。複雑な界面現象となるので、2021年度に実施した方法では限界がある。これに代わる手法を模索することが課題になる。 国際会議で発表した水理実験の結果については、実験スケールの影響について質問を受ける機会が多かった。実際に、一般的な結論に至るためには、より大きなスケールでの実験が不可欠である。一方で、越波という文脈で大きなスケールの風洞水槽を考えると、最低でも30-40m程度の長さが必要であり、これを満たす規模の水槽は日本国内では非常に限られる。このため、海外の研究機関を中心に、より発展的な実験的検討を行う機会を模索している。
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