研究課題/領域番号 |
22KJ2903
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補助金の研究課題番号 |
22J00074 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
寺岡 知紀 早稲田大学, 政治経済学術院, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
採択後辞退 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | Modernity / Modern Japanese History / Intellectual History / Contemporaneity / Crisis / Constitutional Order |
研究開始時の研究の概要 |
本課題は憲法により権力の集中化を防ぎ市民の自由を担保する立憲主義という制度・思想が日本を含む東アジア諸国において歴史的にどのように受容され、独自に変容してきたのかという問いに関する二つの研究を遂行する。一つ目は日本の憲法の「正統性」に集点をおき、19世紀後期から第二次世界大戦直後までに明治憲法と戦後憲法の双方の正統性に関する言説が歴史的にどのように変化したのかを検証する。本研究では日中両国で西洋由来の個人主義的自由の概念が敵対視され、代わりに公共善を強調する共和主義が立憲主義の核として受容された現象を明らかにする。二つの研究はそれぞれ英語による書籍化を予定している。
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研究実績の概要 |
本研究は近代日本思想史のmodernity(資本主義,ナショナリズム,帝国主義)をconstitutional order and imagination(基本的秩序と想像)―「法」の憲法という狭い意味ではなく―のcrisis (危機)として読み解くものである。本研究ではいわゆる「憲法」をフックとしつつも, いわゆる「憲法研究」ではなく, 「constitution」を基本的秩序と捉えることで政治,法,経済を横断する秩序を考察する。理論的枠組みしてHarry Harutoonianの仕事に多く負いoverdetermination(重層性)とcontemporaneity (同時代性)というレンズを通して,彼の研究ではカバーされていない戦前そして戦後の植民地に関する問題(台湾),そして「pre-植民地」というでも言うべき琉球と北海道の編入に関する思想を取り扱っている。この過程で見えてきたものは,近代国家という現象は様々な思想アクターがそれぞれの時代状況において共通する矛盾的な要素(時間性・空間性)を抱え込み常にcrisis(危機)を内包しているということである。 2022年度の前半半年は国内で,後半半年は台湾にて研究活動を行った。前半は現在執筆している書籍の理論的状況,先行研究,問題意識等大きな枠組みに関する資料収集と分析を行い,受け入れ研究者そしてゼミ生との討論,読書会を行った。後半は台湾大学政治学部の客員学者として,特に書籍の一部である台湾議会設置運動に関する研究を行った。台湾での滞在は関連する研究を行う研究者との交流,資料収集の面で非常に有意義であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はPh.D論文として書き上げた憲法の正統性に関する言説の研究を大幅に拡張しより大きなフレームワークである「modernity」の問題として再構築するものである。よって博士論文執筆によって出てきた課題に対して新たな理論的フレームを検討し,章を追加する必要があるためこれまでは一貫した全体像を把握する作業を進めてきた。まだ完全とは言えないが,議論の方向性や章ごとのつながりなどが徐々に輪郭になってきたと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
全体像がある程度固まってきたので,来年度は章ごとの執筆に取り掛かる。まずは台湾における研究の継続として帝国日本と植民地台湾における憲法問題について論文に取り掛かる。また現在ジャーナル投稿のために書き直している明治から大正期の国家論に関しての論文を英語圏のアジア研究のジャーナルに投稿する予定である。
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