研究課題/領域番号 |
22KJ2906
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補助金の研究課題番号 |
22J00440 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
財前 真理 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ニュートリノ集団振動 / 超新星爆発 / 連星中性子星合体 / 超新星ニュートリノ / ニュートリノ振動 |
研究開始時の研究の概要 |
超新星爆発は星の一生の最後に起きる爆発的天体現象であり、未だにそのメカニズムについては不明確なことも多い。近年は中心から多量に放出されるニュートリノを利用した加熱機構がその一端を担っていると考えられており、ニュートリノ物理への深い理解が求められている。その中でもニュートリノが伝搬する間にそのフレーバーが変化する、ニュートリノ振動によってその加熱効率が変化する可能性や地上でのニュートリノ観測への影響が注目されている。本研究ではその中でもニュートリノ同士の相互作用によって引き起こされるニュートリノ集団振動に注目し、その振る舞いを明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
ニュートリノ集団振動は、超新星爆発や連星中性子星合体のようなニュートリノ同士の相互作用が卓越するような極限環境において発生すると考えられているフレーバー変換現象である。一般的なニュートリノ振動とは異なり非線形現象であるがためにその振る舞いは非常に複雑であり、いまだ未知の多い物理となっている。しかしそうした高エネルギー天体現象においてはニュートリノ輻射場の分布が流体のダイナミクスに影響するため、この量子運動論的な効果を理解する必要がある。 前年度は、ニュートリノの高速フレーバー変換の安定性と保存量に注目することで、周期的な境界条件を課した場合にニュートリノが至る準定常状態を解析的に与えることに成功した。本年度は更にこの境界条件に注目し、ディリクレ的な場合と自由境界での元で数値計算を行った。そこでは周期的な場合とは異なる保存量が現れることでフレーバー変換の漸近挙動が制約されることがわかり、結果として全く異なる準定常状態へとニュートリノが向かうことを示した。前年度の成果と合わせて、高速フレーバー変換の漸近挙動へのより包括的な理解を与えることができた。 一方で、初期条件として最初からフレーバー不安定な状態を与えるのではなく、自然な時間発展の結果不安定になる場合を仮定した場合に生じるフレーバー変換についても注目した。安定状態にあるニュートリノが次々と注入されていく状況では、フレーバー変換が平衡状態を超えて完全に入れ替わるスワップ現象が起きることを初めて示した。 また、ニュートリノの物質との相互作用によって引き起こされるフレーバー不安定性についての共同研究を行い、超新星爆発のより中心部に近い領域でニュートリノ集団振動が発生する可能性があることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の最終的な目的はニュートリノ集団振動の非線形な振る舞いを解き明かすことである。前年度の成果と合わせてそのうち高速フレーバー変換の漸近挙動に対してより包括的な理解を与えたことは非常に大きな前進である。また本年度得られた成果を査読中のものも含め複数本の論文執筆を行った。
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今後の研究の推進方策 |
ニュートリノ集団振動がもたらすフレーバー変換のうち、高速フレーバー変換については本年度と前年度の成果により非常に大きな理解が得られた。一方で、物質との相互作用がもたらす衝突フレーバー変換についてはまだ不明な点が多く残されている。最終年度では、より現実的な描像を考え、この衝突フレーバー変換がどのような漸近挙動をもたらすのか、どのようなニュートリノ反応がよく効いてくるのか、非線形の数値計算及び線形安定性解析を用いて調査する。
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