研究課題/領域番号 |
22KJ2908
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補助金の研究課題番号 |
22J00874 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
河野 隆史 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | Chevalley公式 / 半無限旗多様体 / アフィンGrassmann多様体 / 旗多様体 / 同変量子K環 |
研究開始時の研究の概要 |
一般旗多様体に対して,量子K環という代数が定まる.この代数構造は,Gromov-Witten不変量の類似物を用いて定義されており,一般には複雑である.量子Schubert calculusでは,この代数構造を組合せ論的に記述することが1つの主問題である. 本研究では,一般旗多様体のトーラス同変量子K環の代数構造の解明を目指す.このトーラス同変量子K環は,半無限旗多様体のトーラス同変K群のある剰余群と同型である.半無限旗多様体のトーラス同変K群は,アフィン量子群の表現論と密接に関係しており,組合せ論的に扱える.そこで,半無限旗多様体を利用して一般旗多様体のトーラス同変量子K環の代数構造を調べる.
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研究実績の概要 |
本研究では,一般旗多様体の同変量子K環の代数的構造を調べた.Buch-Chaput-Mihalcea-Perrinの結果により,同変量子K環の代数的構造は,Chevalley公式により決定される.そのため,Chevalley公式の組合せ論的な記述を目指した.研究計画では,Lenart-内藤-佐垣による旗多様体に対するChevalley公式を,加藤によるよい全射で一般旗多様体の同変量子K環へ写し,得られた一般旗多様体に対するChevalley公式のうち余分な項を打ち消すという流れを想定した.しかし,上述の打ち消しを記述するためには,量子Bruhatグラフを用いた複雑な場合分けが必要であり,困難であると判明した. そこで,新たにアフィンGrassmann多様体を利用することを試みた.加藤の結果により,アフィンGrassmann多様体の同変Kホモロジー環から一般旗多様体の同変量子K環へ,適切な局所化のもとで全射が存在する.アフィンGrassmann多様体の同変Kホモロジー環の記述ではYoung図形を利用でき,量子Bruhatグラフより簡潔である.そこで,この全射を用いて,アフィンGrassmann多様体の同変Kホモロジー環においてChevalley公式の打ち消しを記述することを目指した. 2022年度は,C型のLagrangian Grassmann多様体に対して,Young図形を用いて打ち消しを記述し,既存の量子Bruhatグラフによる記述と同値であることを確かめた.また,この打ち消しが上述の全射の核を表すために十分な関係式であることを,大部分確かめた. 並行して,C型の旗多様体の同変量子K環を,Laurent多項式環の剰余環として表示することを試み,その証明の大筋を得た.この表示も,最終目標である一般旗多様体の同変量子K環の代数的構造の決定に役立つと考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要の通り,当初の研究計画では目標を達成することが困難であると判明した.しかし,新たなアフィンGrassmann多様体を用いた研究は概ね想定通りに進んでおり,期待通りLagrangian Grassmann多様体に対して既存の結果を再現できた.この過程により,今後目標としている2ステップ旗多様体等の一般旗多様体での研究の方法をある程度構築することができたといえる.そのため,本研究の進捗状況は,現時点ではおおむね順調であると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
アフィンGrassmann多様体を用いて,Chevalley公式の打ち消しを記述することを目指す.アフィンGrassmann多様体におけるSchubert類はYoung図形を用いて記述することができる.このYoung図形を用いて,打ち消しの場合分けを簡潔にすることが目標である.一方,利用することを計画している,アフィンGrassmann多様体の同変Kホモロジー環から一般旗多様体の同変量子K環への全射では,アフィンWeyl群を用いたSchubert類の記述が用いられる.そこで,Young図形とアフィンWeyl群のそれぞれを用いたSchubert類の記述の関係を解明し,この関係のもとで全射を利用する. 並行して,旗多様体の同変量子K環のLaurent多項式環の剰余環としての表示も利用する.本研究の最終的な目標は,同変量子K環の代数的構造の記述であり,多項式環等のよく知られた環を用いた表示を得ることも,目標の達成に貢献する.
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