研究課題/領域番号 |
22KJ2953
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補助金の研究課題番号 |
22J20955 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
山本 立規 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2024年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2023年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2022年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 定常Navier-Stokes方程式 / 非斉次境界値問題 / slip境界条件 / 多重連結領域 / Lerayの問題 / Navier-Stokes方程式 / Bernoulliの法則 |
研究開始時の研究の概要 |
流体や電磁気に関わる現象には、その現象の生じる領域の位相的性質(穴の個数や内部境界の配置)に強く依存すると思われる問題が多く現れる。本研究では川の流れや台風などの流体の運動に関連した自然現象の解析に最も重要な役割を果たす流体力学の基礎方程式(非圧縮性Navier-Stokes方程式や磁気流体力学方程式)の定常問題を多重連結領域において考察し、(a)穴の個数などの領域の位相的性質や境界条件の違いが方程式の可解性に与える影響 (b)Navier-Stokes方程式とは本質的に異なる、磁気流体力学方程式特有の数学的構造(電磁場が流体に及ぼす影響)を明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
令和5年度は前年度に引き続き、2次元平面内の多重連結領域において非斉次 slip 境界条件を課した定常 Navier-Stokes 方程式の可解性を考察した。流体の非圧縮条件から、与えられた境界上の函数の各連結成分の流量の総和は零でなければならない。令和5年度は摩擦係数が粘性係数と領域の境界の曲率の大きさに対して十分大きければ同問題の弱解が少なくとも一つ存在することを(境界値に対しては何ら付加条件を課すことなく)証明した。更に、各連結成分の流量が十分小さい場合や領域に対称性を課した場合は摩擦係数の大きさに関する条件は不要であることも明らかにした。 解の存在証明はLeray-Schauderの不動点定理による。詳しくは、Leray-Schauderの不動点定理の適用を可能にする解のアプリオリ評価式が成立しないと仮定し(背理法)、2次元多重連結領域において非斉次Dirichlet境界条件を課した定常Navier-Stokes方程式の可解性を最も一般的な条件下で証明したKorobkov-Pileckas-Russo(2015)の手法を用いて矛盾を導いた。上記の結果と前年度(令和4年度)に得られた結果はGiovanni Paolo Galdi氏(Pittsburgh大学)との共著論文として纏め、査読付きの国際学術誌に投稿した(arXiv:2403.00164)。 また、令和5年度はPittsburgh大学のGiovanni Paolo Galdi氏を訪問し(52日間)、上記の問題及び関連する問題に関する議論を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2次元多重連結領域において定常Navier-Stokes方程式の解の存在を領域の形状や境界値に付加条件を課すことなく示し、論文として纏めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は令和4年度及び5年度に得られた定常解の安定性を考察する。更に、3次元空間内の有界な多重連結領域において非斉次slip境界条件を課した定常Navier-Stokes方程式について、各連結成分における流量が零という強い付加条件を境界値に対して課し、解のアプリオリ評価式を(背理法を用いずに)直接示すことによって同方程式の可解性を証明することを目標とする。解のアプリオリ評価式を直接示す証明は、仮定は強くなるが定常磁気流体力学方程式などの他の定常方程式の可解性証明への応用が期待できる。
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