研究課題/領域番号 |
22KJ2955
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補助金の研究課題番号 |
22J22021 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
会田 和広 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2024年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2023年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2022年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | ジルコノセン / 可視光レドックス触媒 / 環状エーテル / 位置選択性 / ラジカル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、糖類やテルペノイドをはじめとする、天然に豊富に存在する環状エーテルの開環反応の開発を目指す。また、ラジカルの安定性を凌駕可能な触媒系を開発し、有機化学の基本原理に挑戦する。具体的には、酸素親和性が非常に高いジルコノセン触媒を利用することで、環状エーテルのC-O結合均等開裂反応を開発する。さらに、ジルコノセン触媒がもつ配位子や共存するチオウレア触媒を改変することで、C-O結合開裂の位置選択性を制御し、ラジカルの安定性に支配されない触媒系を開発する。
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研究実績の概要 |
環状エーテルは多様な不斉情報をもつ。これらのC-O結合を自在に開裂し、官能基化できれば、有機合成的価値の高いキラルビルディングブロックを効率的に供給できる有用な分子変換となり得る。これまでの環状エーテルのC-O結合開裂は、強力なブレンステッド酸やルイス酸を利用したイオン開裂が一般的であり、環状エーテルは通常、求電子剤として振る舞う。一方、環状エーテルをラジカル機構で開環できれば、求核的なラジカル種としても利用できる。C-O結合の均等開裂反応の代表的な例として、チタノセンを用いたエポキシドの開環反応が知られるが、開環可能な環状エーテルは主にエポキシドに限られた。本研究では、独自で開発したジルコノセンと可視光レドックス触媒系を用いて、これまで開環の困難であったTHFなどの環歪みの小さな環状エーテルの開環に挑む。 本年度までに、ジルコノセンと可視光レドックス触媒系を用いたエポキシドおよびオキセタンの位置選択的開環反応を報告した。特筆すべきことに、本反応ではより不安定なラジカルを与えるようにC-O結合を開裂し、置換基の多いアルコールを優先して与えた。また、前年度に引き続き環歪みの小さな環状エーテルを開環できる条件を探索した。加えて、位置選択性や反応の不斉化を目指し、不斉シクロペンタジエニル基をもつジルコノセンや不斉チオウレア触媒の合成にも取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、ジルコノセン/可視光レドックス触媒系において、オキセタンも従来とは異なる位置選択性でC-O結合が開裂することを見いだし、論文として報告した。また、より環歪みの小さな環状エーテルの開環反応に関しては、収率に改善の余地を残すものの、昨年度よりも幅広いTHF基質の開環を達成した。加えて、エポキシドの開環反応における官能基化も達成し、低収率から中程度の収率でアルケニル化体が得られることを見いだした。 また、量子化学計算によりエポキシドの位置選択性の発現要因を調査し、実験結果の位置選択性を支持する計算結果が得られた。また、これらの反応を不斉反応にすべく、不斉配位子の合成にも取り組んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、THFの開環反応の最適反応条件を決定し、基質適用範囲の調査および官能基化に取り組み、論文化を目指す。なお、THFの開環を目指すにあたり、ジルコノセン触媒や光触媒の合成が必要であることから、これらの触媒合成も進め、活性評価に取り組む。 加えて、エポキシドの位置選択性の発現要因を量子化学計算を組み合わせることで解明する。具体的には、種々の置換様式のエポキシドやチオウレアを用いて計算を実施し、実験結果と合わせることで、位置選択性の発現に寄与する相互作用を解明する。本相互作用を明らかにし、THFなどのより環歪みの小さな環状エーテルにも応用することで、開発した環状エーテルの開環反応を位置選択的な反応へと発展させる。
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