研究課題/領域番号 |
22KJ2967
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補助金の研究課題番号 |
21J01155 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
吉本 翔 麻布大学, 麻布大学大学院 獣医学研究科 獣医学専攻, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | CAR-T細胞 / T細胞の疲弊 / 免疫チェックポイント / スイッチレセプター / 遺伝子改変 / イヌ / T細胞 / 疲弊 / 腫瘍 |
研究開始時の研究の概要 |
がんに対する新規治療法として、キメラ抗原受容体発現T(CAR-T)細胞療法が注目を受けている。これまでに血液がん患者で優れた治療効果を示してきたが、がん患者の体内でCAR-T細胞が疲弊すると治療効果は持続しないことが報告されている。本研究では、疲弊を誘導する受容体の細胞外ドメインと共刺激分子のシグナルドメインをキメラ化したスイッチレセプターによりCAR-T細胞の疲弊という課題の解決を目指す。
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研究実績の概要 |
令和6年度は、PD-1受容体の細胞外ドメインと共刺激分子CD28のシグナルドメインをキメラ化したPD-1/CD28 スイッチレセプター(SR)が、イヌCAR-T細胞の治療効果に与える影響をin vivoで評価した。 NSGマウスにPD-L1を発現するがん細胞株を移植し、5日目に通常のCAR-T細胞、もしくはSR-CAR-T細胞を静脈内投与した。イヌCAR-T細胞の投与後、生物発光イメージングを用いて経時的にがんの存在を検出するともに、末梢血中のイヌCAR-T細胞の存在も検出した。当初の仮説では、SR-CAR-T細胞は通常のCAR-T細胞よりも治療効果が増強されると想定していたものの、本実験ではPD-1/CD28 SRによるイヌCAR-T細胞の抗腫瘍効果の増強作用は確認できず、末梢血中での検出についても両者で優位な差は確認されなかった。しかしながら、本実験では悪性度の高いがん細胞株を移植したマウスにおいて検討を行っており、いずれのCAR-T細胞も十分にがんを制御できなかったから、PD-1/CD28 SRの有用性を評価するためには、がん細胞株の選定を含めてin vivoの実験条件を洗練させる必要があると考えられた。 本研究全体を通し、イヌCAR-T細胞の機能抑制・疲弊の誘導にPD-L1が関連し、PD-1/CD28 SRがイヌCAR-T細胞の機能を増強することをin vitroで明らかにしており、獣医療におけるCAR-T細胞開発において重要な知見を明らかにした。また、in vivoの実験はさらなる条件検討が必要と考えられたものの、イヌCAR-T細胞の有効性をがん移植マウスで評価した研究は世界的にも未だ報告がなく、本実験で得られた知見は今後のイヌCAR-T細胞研究を進めていく上で重要なものである。
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