研究課題/領域番号 |
22KJ2974
|
補助金の研究課題番号 |
21J20070 (2021-2022)
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
|
研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
堀 天 中部大学, 生命健康科学研究科, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
|
キーワード | 運動昇圧反射 / 筋機械受容器反射 / 運動時循環応答 / 交感神経活動 / 感覚神経 / メカノバイオロジー / メカノトランスダクション |
研究開始時の研究の概要 |
慢性的な痛みが全身に生じる線維筋痛症による甚大な経済損失は世界的社会問題である.身体運動は線維筋痛症の症状改善に効果的であるため,その実施が推奨されている.運動時の過剰な血圧上昇(昇圧応答)は運動の安全性を損ねてしまうにもかかわらず,線維筋痛症が運動時の昇圧応答に及ぼす影響は明らかではない. 本研究では線維筋痛症のモデル動物を用いて,線維筋痛症における運動時の過剰昇圧応答のリスクを世界で初めて明らかにし,加えて,線維筋痛症における過剰昇圧応答の機序も解明する.これにより,線維筋痛症に対する運動処方の実施の安全性の担保に貢献する.
|
研究実績の概要 |
本研究では,線維筋痛症における運動時の過剰昇圧応答のリスクを明らかにし,さらに,線維筋痛症における過剰昇圧応答の機序を,個体・組織・細胞レベルで解明することを目的としている. これまでに,線維筋痛症モデルラットでは,運動時の神経性循環調節機構の一つである筋機械受容器反射が亢進していることを明らかにした.そのため,本年度では,線維筋痛症モデル動物における筋機械受容器反射の亢進の機序解明を目的に,無麻酔除脳動物を用いたin vivoの系の実験を実施した.その結果,イオンチャネルであるtransient receptor potential vanilloid 1(TRPV1)と,酸感受性イオンチャネル3(acid-sensing ion channel 3, ASIC3)のそれぞれの作動薬であるカプサイシンと乳酸の下肢動脈投与に対する血圧応答および交感神経活動応答が,線維筋痛症モデル動物において亢進していることを明らかにした.さらに,筋機械受容器反射を評価するための下腿三頭筋の受動的ストレッチに対する血圧・交感神経活動応答の線維筋痛症様症状による亢進は,TRPV1とASIC3のそれぞれの阻害薬であるIRTXおよびAPETx2の下肢動脈投与により,抑制されることを明らかにした. 以上の結果より,線維筋痛症モデル動物における筋機械受容器反射の亢進に少なくともTRPV1とASIC3が関与する可能性が示唆された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り,電気生理学的手法を用いて,in vivoの系にて線維筋痛症モデルラットで筋機械受容器反射が亢進する機序の解明にアプローチすることができた.しかし,分子生物学的手法を用いた機序の検討はできていないため,おおむね順調とした.
|
今後の研究の推進方策 |
分子生物学的手法を用いて,筋機械受容器反射の求心路を担う脊髄後根神経節細胞において,TRPV1やASIC3の発現や修飾が変化しているのかを明らかにする.それにより,線維筋痛症モデル動物におけるTRPV1とASIC3の感作の機序解明にアプローチする.
|