研究課題/領域番号 |
22KJ2986
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補助金の研究課題番号 |
22J01130 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分45010:遺伝学関連
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研究機関 | 長浜バイオ大学 |
研究代表者 |
富原 壮真 長浜バイオ大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | メダカ近縁種 / タイメダカ / 性行動 / スニーカー行動 / ステロイドホルモン / 第二次性徴 / 全ゲノム解析 |
研究開始時の研究の概要 |
雌雄の性を持つ動物種において、多くの場合メスがオスを配偶者として選好するため、メスに選好されやすい形質を持つオスが生殖を完遂させる傾向にある。一方で、メスによる選好に不利なオス個体が有利なオス個体を出し抜いて性行動を行う「スニーカー行動」が見られることが分かっている。しかし、スニーカー行動を行うオスがどのように出現するのか、またこの行動を引き起こす神経メカニズムは分かっていなかった。本研究では、メダカ近縁種のうち、オスに選ばれにくい形質を持つオスが一定数存在するタイメダカをモデルに、遺伝学的手法や、遺伝子工学・生理学的手法を組み合わせ、これらのメカニズムを明らかにする。
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研究実績の概要 |
雌雄の性を持つ動物種において、多くの場合メスがオスを配偶者として選好するため、第二次性徴や性行動パターンといったオスの形質はメスに選好されやすい形質になる方向へ進化する傾向にある。しかし一定の割合で、メスによる選好に不利なオス個体が有利なオス個体を出し抜いて性行動を行う「スニーカー行動」が見られることが分かっている。しかし、スニーカー行動を行うオスがどのように出現するのか、またこの行動を引き起こす神経メカニズムは分かっていなかった。本研究では、メダカ近縁種のタイメダカを用いて、これらのメカニズムを明らかにすることを目的とした。 メダカ属に共通して現れるオス型の第二次性徴として尻鰭の伸長が知られている。このことから、タイメダカの標準体長に対する尻鰭の長さの割合を計測した。その結果、尻鰭の伸長が見られないメスと比較してこの割合が大きいオス個体が見られる一方、この割合がメスと同程度の個体も半数程度存在した。このことから、タイメダカオスの中には第二次性徴が不明瞭な個体が存在することが分かった。予備的な解析で、この不明瞭な第二次性徴の発現は雄性ステロイドホルモン(A)の投与により回復すること、この個体がスニーカー行動様の性行動を行うことを示した。このことからスニーカー行動をとるオス(スニーカーオス)は血中A濃度が通常オスより低いこと、この血中A濃度の違いにより性行動パターンの違いが生み出されることが示唆されたため、今後詳細な解析を行う。 また、この血中A濃度の違いを生み出す遺伝的なメカニズムを明らかにするため、タイメダカオスの全ゲノム配列の決定、および個体のオス化に関与するゲノム領域(性決定領域)の同定を行った。昨年度までに、約2000scaffoldからなるassembled genomeを構築し、その中で雌雄SNPから計算したFst値が高い、性決定領域の候補領域を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第二次性徴や性行動の解析は個体が成体に成長してから行う必要がある。しかし、タイメダカは産卵数が他のメダカ近縁種と比べて非常に少なく、また仔魚の段階で多くの個体が死亡してしまい、成体を安定して確保することが困難であった。飼育方法や餌の種類、採餌方法などを改善した結果、本課題開始当初と比較して大幅に成体の確保が可能となったものの、当初の予定であった成体を用いたGWASなどを行うことが出来なかった。 現在は比較的安定して成体を確保できているため、来年度より順次遺伝学的な解析を行うと同時に、ステロイドホルモン量の定量や脳内神経回路の探索といった生理学的な解析にも着手する。
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況に示した通り、現在はタイメダカ成体を比較的安定して供給できるようになったため、来年度以降は成体を用いたGWAS解析を行い、第二次性徴の不明瞭なスニーカーオスと通常のオスの間での血中A濃度の差異を説明するようなゲノム領域が存在するかを解析する。この際、今年度に構築したassembled genomeを用いることで、近縁種ゲノムをリファレンス用いるよりも高精度な解析が実現されることが予想される。 一方で、血中A濃度の差異を定量するため、真骨魚類Aの一種である11-ketotestosterone(11-KT)のELISAを行う。また、11-KTの投与実験により血中A濃度を操作し、性行動パターンがA依存的であるかを解析する。また性行動を行ったオスの脳において初期応答遺伝子のin situ hybridizationを行い、タイメダカオスにおいて性行動時に活発に活動する神経領域を同定する
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