研究課題/領域番号 |
22KJ2988
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補助金の研究課題番号 |
22J23607 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
祝迫 佑紀 京都薬科大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2024年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2023年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2022年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス / KSHV / ターミナーゼ / カプシド |
研究開始時の研究の概要 |
カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)は、感染者のエイズ発症や免疫抑制剤投与下の免疫不全時にカポジ肉腫等のがんを引き起こすが、未だ有効な抗ウイルス薬は存在しない。申請者はウイルス特異性の高い抗KSHV薬の開発には、KSHV特異的な複製機構の解明が必要だと考えた。そこで着目したのが、子孫ウイルス形成に重要なKSHVターミナーゼ複合体である。ターミナーゼ複合体は抗ウイルス薬の標的として有望視されているが、KSHVにおいては未だ不明な点が多い。本申請研究では、KSHV-BACを用いた遺伝子改変KSHVの作製を通して、ターミナーゼ複合体構成要素を中心に様々なKSHV遺伝子機能解析を実施する。
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研究実績の概要 |
KSHVターミナーゼ複合体は3種類のKSHVタンパク質ORF7・ORF29・ORF67.5で構成されるが、これらORFの持つ機能は未だ不明であった。2023年度は、ORF67.5の機能を検討した。ORF67.5欠損KSHVを作製し、ORF67.5欠損KSHV感染細胞を用いて機能解析を実施した。その結果、ORF67.5欠損KSHVは感染性ウイルス産生能を欠いていた。また、ORF67.5欠損KSHV感染細胞内において成熟カプシドは観察されず、未成熟カプシドであるSoccer ball-like capsidが観察された。また、ORF67.5欠損KSHVはTerminal repeat (TR)切断能を失っていた。以上より、ORF67.5はKSHVターミナーゼ機能に重要であることが明らかになった。さらに、ORF67.5の機能に重要なアミノ酸領域を検討した。KSHV ORF67.5には、他のヒトヘルペスウイルスホモログ間でアミノ酸配列の保存性が高い領域(保存領域)と、保存性が低い領域(非保存領域)がある。それら領域の一部をそれぞれアラニン置換した、計13種類のORF67.5変異体発現プラスミドを作製し、各アミノ酸領域のORF67.5機能への寄与を検討した。その結果、保存領域はウイルス産生に重要であり、またORF67.5とORF7との相互作用に必要であることが明らかになった。これらの結果はAlphaFold2にて構築したKSHVターミナーゼ複合体構造モデルによっても支持された。以上の研究成果を、米国微生物学会の旗艦誌 Journal of Virologyにて発表した(Iwaisako Y et al., J Virol, 2023.)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者は前年度、KSHV ORF67.5がKSHVターミナーゼ機能に対して重要であることや、その機能に重要なアミノ酸領域を明らかにすることができた(Iwaisako Y et al., J Virol, 2023)。また、申請者が来年度に実施予定であるKSHV ORF29の機能解析に必要なORF29欠損KSHVの作製にも既に成功している。以上のことから、現在までの進捗状況は、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、KSHVターミナーゼ複合体構成要素のORF7・ORF29・ORF67.5のうち、残りのORF29の機能解析を実施する。先述のとおり、既にORF29欠損KSHVの作製には成功した。ORF29欠損KSHV感染細胞を作製し、ウイルス産生量や感染性ウイルス産生量を測定する。また、透過型電子顕微鏡による形成カプシドの形態観察や、TR切断能を検討する。さらに、ORF29の一部分を欠損させた、ORF29部分欠損体発現プラスミドを作製し、これを用いてORF29の機能に対する重要領域を決定していく。
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