研究課題/領域番号 |
22KJ2995
|
補助金の研究課題番号 |
22J01436 (2022)
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
神谷 奈々 (2023) 京都大学, 工学研究科, 助教
|
特別研究員 |
神谷 奈々 (2022) 京都大学, 工学研究科, 助教
|
研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 圧密 / 岩石磁気 / 堆積軟岩 |
研究開始時の研究の概要 |
岩石に記録された過去の地球磁場を読み解く古地磁気研究は,地磁気の逆転記録に基づく地質年代の決定や古地磁気方位に基づくプレート運動の解明など,地球の歴史を解き明かす上で重要な役割を担ってきた.こうした古地磁気研究に有用な情報は堆積時に獲得された初生的残留磁化であるが,この情報はその後の過程で上書きされる.そこで本研究では,圧密実験と天然地質体での検証によって,どの程度の圧密量まで磁性鉱物が回転するのかを明らかにし,上書きの過程の詳細を解明する.さらに,圧密量と磁化ベクトル(方位と強度)の変化の関係性を定量的に評価することを目指す.
|
研究実績の概要 |
岩石に記録された過去の地球磁場を読み解く研究では,記録された地球磁場を紐解く必要がある.海底表層の堆積直後の段階で獲得される初生的残留磁化が最初に影響を受けるのが圧密過程であると考えられる.昨年度までの研究により,圧密を受けると初磁化率の異方性が変化することが確認された.その傾向は面構造がより発達する変化と整合的であり,圧密により磁性鉱物が回転している可能性が示された.本研究で用いているのは,堆積軟岩に分類される,間隙率が40%前後の泥質岩である.圧密による磁気特性の変化の有無を確かめるために,約80 MPaまで圧密し,その前後で初磁化率の異方性と非履歴性残留磁化の異方性をそれぞれ検討したところ,圧密の前後で変化が確かめられた.本結果を受け,本年度は圧密量に対する磁性鉱物の回転量評価を試みた.圧密度合いを20 MPa, 60 MPaと段階的に変化させ,圧密量に対して初磁化率の異方性がどのように変化するかについて検討した.圧密前の初磁化率の異方性を解析したところ,異方性楕円体は扁平な形状であったため,長軸と短軸がほぼ水平,中間軸が鉛直,すなわち載荷方向と平行になるように供試体を成形し,載荷によって回転の様子が捉えやすいよう工夫した.実験の結果,最大応力を増加させると,異方性楕円体の中間軸が段階的に水平に近づく様子が確認された.今後は,圧密量と回転量の関係を定量的に示すために,供試体の個数を増やして検討を続ける.さらに,地質構造を考慮した解析を行って,年代効果など実験では再現できない要素を考慮し,統合的に考察を行う.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
圧密量を変化させて磁気異方性を測定する実験では,新たな技術的課題が生じたものの,実験方法の改良によって課題を解決し,圧密量の変化に対する磁気異方性の変化を捉えることができた.また,圧密実験に用いた試料を採取した房総半島前弧海盆を対象に,褶曲構造が発達した地質体での初磁化率の異方性解析にも着手し,天然での造構運動および圧密現象と磁気方位の関係解明に向けて実験を進めている状況であり,研究の進捗はおおむね順調と評価できる.
|
今後の研究の推進方策 |
保磁力の大きい磁性鉱物に対する圧密の影響を確認するために,等温残留磁化(IRM)測定を実施する.その上で,圧密量に対する磁性鉱物の回転度合いを定量的に評価し、圧密と磁気方位の関係を明らかにする.同時に,天然の地質体に対する磁気異方性解析を進め,室内実験では再現できない年代効果やスケール効果を加味して,圧密が磁気方位に与える影響について検討する.得られた成果を,国内外の学会等で発表し,専門分野の研究者らと議論を重ねて研究の発展に努め,また国際誌に投稿し研究成果を広く公表する.
|