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脂肪由来幹細胞に残された運動や肥満の記憶を制御する分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ3002
補助金の研究課題番号 22J20239 (2022)
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金 (2023)
補助金 (2022)
応募区分国内
審査区分 小区分59020:スポーツ科学関連
研究機関同志社大学

研究代表者

大澤 晴太  同志社大学, スポーツ健康科学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
キーワード脂肪由来幹細胞 / 運動トレーニング / 細胞骨格 / mTOR / Exosome / miRNA / 模擬微小重力
研究開始時の研究の概要

近年,内臓脂肪組織の恒常性破綻に,脂肪由来幹細胞(ADSC)の分化異常による脂肪細胞の数や質の破綻が関与することがわかってきた。そのため,ADSCの分化調節機構解明は内臓脂肪症候群の予防・改善の新たな戦略となる可能性を秘めている。しかし,内臓脂肪症候群の改善に有効な運動(TR)が,ADSCの分化調節機構に与える影響は未知の領域である。そこで本研究では,アミノ酸代謝を調節する細胞内シグナル伝達経路に着目し,TRや高脂肪食摂取によるアミノ酸代謝変動に依存するエピジェネティックな制御を介したADSCの分化制御機構解明を目指す。

研究実績の概要

本研究では,ADSCの脂肪分化と密接に関与する,形態・代謝・液性因子に着目し研究を行い,2022年度では,皮下および内臓脂肪由来のADSCはそれぞれ異なるメカノシグナル経路を介してEXによる脂肪分化抑制効果を修飾する知見が得られた。
そこで,2023年度には上記現象を制御するメカニズムを追求するために,皮下および内臓脂肪由来ADSCの脂肪分化制御機構において,EXが修飾するターゲットシグナルに焦点を当て薬理学的手法による検証実験を行った。この成果については,原著論文を執筆中である。
2023年度は,さらに以下の2つのプロジェクトを実施した。プロジェクト①:EXによるADSCの適応変化をもたらすシグナルの候補として,ADSCから放出されるエクソソーム内のmiRNAに着目するとともに,プロジェクト②:EXがADSCの細胞内栄養(特にアミノ酸)センサーであるmTOR複合体に及ぼす影響を検討した。
プロジェクト①では,EX群のADSCから回収したエクソソームは3T3-L1細胞の脂肪分化を著しく抑制することを見出し, EX群のエクソソームに内包されるmiRNAのマイクロアレイ解析を行った結果,EX群で特異的に発現が見られる3つのmiRNAを同定した。このEX特異的miRNAは細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)をリン酸化し,脂肪分化のマスターレギュレーターであるPPARγのリン酸化を修飾していることを明らかにすることができた。この結果は,近々国際誌に投稿する予定である。
プロジェクト②では,ADSCの脂肪分化制御機構における代謝変動に及すEXの効果に関して,mTOR複合体に着目し実験を行った。その結果,EXによるADSCの脂肪分化抑制はERKを中心としたmTOR非依存的な経路が関与することが示唆された。この結果に関しては,現在追加実験を行っており,2024年度中に国際誌に投稿する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度研究では,皮下および内臓脂肪由来ADSCの脂肪分化制御機構においてそれぞれターゲットとなるメカノシグナル経路の阻害剤を処理したところ,予想通りEXによる脂肪分化抑制効果がキャンセルされることが明らかとなった。また,ADSCの脂肪細胞分化機構におけるmiRNAおよびmTORの役割に着目した研究では,EXによる脂肪分化抑制効果にはERKシグナル経路が関与する知見を得ることができた。いずれの研究においても,原著論文の執筆が進んでおり次年度には国際誌に投稿予定である。
以上のことから,達成度は(2)おおむね順調に進展しているとした。

今後の研究の推進方策

2022および2023年度にかけてEXが修飾するADSCの脂肪分化制御機構を形態・代謝・液性因子の包括的な視点から明らかにしてきた。2024年度は,さらにEXの効果をトリガーする鍵因子の特定ならびにEX効果をADSCに記憶する分子機序の解明を目指す。
そのため,EXによるエピゲノム変化部位を特定し,その変化を修飾する鍵因子を特定する。さらに,特定したエピジェネティック修飾に重要な酵素群に及ぼすEXの影響を明らかにする。
最終年度は,これまで得られた結果を元に,ヒトADSCでのEX効果の再現実験も実施する予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて 2024 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件)

  • [国際共同研究] Department of/Experimental Medicine University of/Genoa(イタリア)

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [国際共同研究] ESTEC(オランダ)

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [雑誌論文] High-intensity interval training enhances mRNA expression of IGF1Ea in rat Achilles tendon2024

    • 著者名/発表者名
      Tsuchiya Yoshifumi、Takakura Hisashi、Osawa Seita、Izawa Tetsuya
    • 雑誌名

      Molecular Biology Reports

      巻: 51 号: 1 ページ: 374-374

    • DOI

      10.1007/s11033-024-09306-x

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Impact of high-intensity interval training on tendon related gene expression in rat Achilles tendon2023

    • 著者名/発表者名
      Yoshifumi Tsuchiya, Hisashi Takakura, Seita Osawa, Tetsuya Izawa
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 658 ページ: 116-121

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2023.03.076

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 水泳トレーニングとカテキン・カフェイン含有高脂肪食摂取の組み合わせが白色脂肪細胞のベージュ化に及ぼす影響について2023

    • 著者名/発表者名
      高倉久志,上羽真保,大澤晴太,見目大悟,山口佐智子,井澤鉄也
    • 学会等名
      第77回日本栄養・食糧学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 脂肪由来幹細胞の脂肪分化能に及ぼす高強度インターバルトレーニングの影響2023

    • 著者名/発表者名
      見目大悟,大澤晴太,山口佐智子,高倉久志,井澤鉄也
    • 学会等名
      第77回日本栄養・食糧学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 脂肪由来幹細胞のベージュ細胞化に及ぼす高脂肪食や運動トレーニングの影響2023

    • 著者名/発表者名
      山口佐智子,大澤晴太,見目大悟,高倉久志,井澤鉄也
    • 学会等名
      第77回日本栄養・食糧学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 脂肪由来幹細胞の脂肪分化能に及ぼす運動トレーニングおよび模擬微小重力の影響 : RNAseqによる遺伝子網羅的解析2023

    • 著者名/発表者名
      大澤晴太,見目大悟,山口佐智子,高倉久志,井澤鉄也
    • 学会等名
      第77回日本栄養・食糧学会大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 脂肪由来幹細胞の脂肪分化に及ぼす運動および高脂肪食摂取の影響2022

    • 著者名/発表者名
      大澤晴太,加藤久詞,見目大悟,長谷川響也,高倉久志,井澤鉄也
    • 学会等名
      第77回日本体力医学会大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 脂肪由来幹細胞のアミノ酸飢餓に対する応答と運動の影響2022

    • 著者名/発表者名
      見目大悟,大澤晴太,加藤久詞,長谷川響也,高倉久志,井澤鉄也
    • 学会等名
      第77回日本体力医学会大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 運動トレーニングによって脂肪由来幹細胞から分泌される細胞外小胞が脂肪分化および筋細胞のインスリン感受性に及ぼす影響2022

    • 著者名/発表者名
      加藤久詞,大澤晴太,浅原哲子,高倉久志,井澤鉄也
    • 学会等名
      第77回日本体力医学会大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

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公開日: 2022-04-28   更新日: 2024-12-25  

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