研究課題/領域番号 |
22KJ3006
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補助金の研究課題番号 |
20J01448 (2020-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2020-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
下地 ローレンス吉孝 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 特別研究員(CPD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ハーフ / ミックス / 混血 / ミックスレイス / 社会学 / 移民 / エスニシティ / インターセクショナリティ / 混血児 / 人種 / レイシズム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本において「ミックス」「ハーフ」と呼ばれる人々、および米国において「ミックスレイス」「マルチレイシャル」と呼ばれる人々について、人種編成論(人種の言説の発生や変化およびその影響を分析する分析視座)を軸に、その歴史と現在の経験からみえる人種編成の実態を日本(沖縄)と米国での実地調査から明らかにする。特に、沖縄にルーツをもつ人々を主な対象とすることで、これらの人種編成の重層化構造を明らかにするとともに、ジェンダー・セクシュアリティ、階級、文化、障害、宗教などさまざまな要素の交差性(インターセクショナリティ)について分析する。
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研究実績の概要 |
今年度は、前期(4月から8月)はネバダ州、後期(9月から3月)はカリフォルニア州を中心に、①ミックス・レイス・スタディーズに関する先行研究の調査・整理、②ミックスレイス研究の最新の知見を援用し、日本における全国的な「ハーフ」・「ミックス」と呼ばれる人々の生活実態調査を実施した。この際、③他大学の研究者(トロント大学、南オーストラリア大学)や社会活動家(弁護士、メディア関係者、NPO関係者ら)と協働した。さらに、これまでの研究成果をもとに④論文や書籍の執筆、大学での講義、NPO団体での研修やイベント、メディア等での情報発信などを行った。 ②と③については、トロント大学博士課程・市川ヴィヴェカ氏と協力し、「ハーフ」「ミックス」と呼ばれる人々の差別とメンタルヘルスに関わるアンケート調査票を構築した。差別については、欧米のミックスレイス研究の知見をもとに、ミックスの人々に対するマイクロアグレッション指標のアイディアを援用し、日本のミックスに対するマイクロアグレッション指標五項目を策定(日本人性の否定、マイクロインヴァリデーション、エキゾチック化、二級市民としての扱い、環境型マイクロアグレッション)。メンタルヘルス項目では日本の不登校率、自殺率およびメンタルヘルスのスクリーニング使用であるK6指標を採用して、一般的な数値と比較可能とした。2024年3月31日時点では約300程度の回答が集まっている。 これらの結果は2024年度4月以降に単純集計とクロス集計を実施し、6月の批判的ミックスレイス学会にて報告予定である。 ④についてはこれまでの研究成果をもとに、『アメリカ史研究』において人種編成論とインターセクショナリティ論を節合した交差的編成論について執筆した。また、書籍『レイシャル・プロファイリング』において、「ハーフ」の人々に対するレイシャル・プロファリングの特徴点を論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた、日本社会における「ハーフ」「ミックス」の人々にたいするアンケート調査を実施することができた。調査票については、トロント大学の市川ヴィヴェカ氏と協働し、これまでの研究知見の上に、欧米で近年急速に蓄積されつつあるMixed Race Studiesの領域から、特にマイクロアグレッションやメンタルヘルスに関するものを中心に先行研究を分析・援用して作成した。これらをウェブ上のアプリを用いてアンケートフォームを作成し、専用ウェブサイトも設置して広報・運営し、400以上の回答を集めることができた。これらの成果は2024年6月にオハイオ大学にて開催予定の批判的ミックスレイス学会にて報告予定である(申請・採用済み)。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は3年間の米国における主要渡航期間の最終年(2024年8月末まで)であり、CPD特別研究員資格の最終年度でもある。 4月から8月までの主要渡航期間においては、引き続き、ミックスレイス、インターセクショナリティ、批判的人種理論、ジェンダー・セクシュアリティ、クィア理論などを中心に、先行研究を収集・分析する。また、昨年度から継続してきた全国アンケートの集計・分析作業を実施し、トロント大学の市川ヴィヴェカ氏と共同で、6月にトロント大学にて開催予定の批判的ミックスレイス学会において報告を実施する。またこれらの成果を専用ウェブサイトを通じて広く社会に発信し、「ハーフ」「ミックス」の人々が直面する差別とメンタルヘルスについて問題提起を行う。 9月以降は日本に戻り、これまで主要渡航期間に得られた知見をもとに、データを分析・執筆し、国内において研究報告を実施する。
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