研究課題/領域番号 |
22KJ3011
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補助金の研究課題番号 |
21J01646 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
阪本 佳郎 (2021, 2023) 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 特別研究員(PD)
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特別研究員 |
阪本 佳郎 (2022) 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | シュテファン・バチウ / 亡命文学 / ルーマニア文学 / ハワイ先住民文学 / 英語圏文学 / ラテンアメリカ文学 / 20世紀における災厄と離散の歴史 / MELE 詩の国際便 / ルーマニア亡命文学 / 作家・詩人の言語選択と記憶・生の関係性 / ジャン・シャルロ / 20世紀の災厄と離散の歴史 / 戦後ラテンアメリカ文学 / 旅と移動の文学 / 文化的横断性 / 詩、文学、伝記研究 |
研究開始時の研究の概要 |
二度の世界大戦、冷戦という歴史の災厄を背景に、祖国ルーマニアを追われ、世界各地に散っていった亡命者たちの文学運動に焦点を当てる。ルーマニアの亡命文学者は、祖国の文学にある土着性、民俗学的想像力、不条理性を抱えつつ、亡命先の土地の文学と出会うことで、新たな表現を拓いて行った。それは20世紀モダニズム文学の地球大の広がりに特筆すべき影響力を持った。詩人シュテファン・バチウの文学誌MELE International Poetry Letterに一つの焦点を当て、その動態を明らかにする。
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研究実績の概要 |
単著『シュテファン・バチウ ある亡命詩人の生涯と海を越えた歌』(コトニ社、2024年3月)を出版・刊行、本研究は価値ある成果を結実させた。ルーマニア亡命詩人たちのモダニズム伝播が、ヨーロッパにとどまらずアメリカス(ラテンアメリカ、北中米)、太平洋諸島域にまで広がり、各地の詩人たちとの協働を実現していたことをシュテファン・バチウの詩の営みに中心をおきながら描き出すことができた。1960-90年代という冷戦期の苛烈な歴史と渡り合いながら、それぞれの土地の政治・文化で生まれた言葉が、互いに出遭い、世界大にひろがる連帯のネットワークをつくっていたことを本書は示した。国内外の研究でこれまで言及されることのなかった文学場について、世界で初めて書物として世に問うことができた価値は大きい。2024年1月にはハワイ大学関係者に本成果を報告し、同3月にはルーマニアのバベシュ・ボヤイ大学文学部にて講演をおこなった。詩人の亡命地や祖国で研究成果を還元、ルーマニア亡命文学の新たなる側面について現地研究者と共同研究の素地をつくり、今後の研究発展を期すことできた。またこれまでの研究プロセスについて、オーストラリアの詩人ダニエル・イオニツァ氏からインタビューを受け、ルーマニアの首都ブカレストの季刊誌Leviathan『リヴァイアサン』に2024年12月から計4回1年間にわたる連載をDialog la Antipozi「対蹠点の対話」として掲載される。これも研究のさらなる浸透を進めるものであった。2023年12月には文学誌『河口から』に「オウィディウスへの手紙」を寄稿、ルーマニアでは論集Epistolae catre Ovidiu『オウィディウスへの書簡集』に、Catre Ovidiu la Leuke「レウケのオウィディウスへ」を発表するなど、現代情勢を踏まえ成果を世に問うた、実り多き最終年度だった。
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