研究課題/領域番号 |
22KJ3035
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補助金の研究課題番号 |
22J23324 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
戸塚 史織 立命館大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2024年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2023年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2022年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 浮世絵 / 歌舞伎 / デジタルアーカイブ / 日本近世文学 / 日本演劇 / 日本文化 / 役者絵 / 勝川派 / 情報人文学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、従来十分に研究活用されて来なかった勝川派浮世絵の内「役者絵」を用い、歌舞伎史上の一つの頂点とされる天明期歌舞伎の芸の実態解明を目的とする。 天明期歌舞伎の第一次資料といえる役者絵は、歌舞伎の身体表現を視覚的に記録する手法を多く確立した勝川派によるもので、新資料基盤となる見込みがある。一方勝川派役者絵は、世界各地に数千枚規模で拡散して存在し、正確な年代考証や作品研究が進んでおらず、これが天明期歌舞伎研究の足枷となっていた。 本研究ではデジタルヒューマニティーズ手法により勝川派役者絵の収集・研究環境整備を実現し、役者絵を用いて天明歌舞伎の実態検証を試みる。
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研究実績の概要 |
本研究は、従来十分に研究活用されて来なかった勝川派浮世絵の内「役者絵」を用い、歌舞伎史上の一つの頂点とされる天明期歌舞伎の芸の実態解明を目的とする。勝川派役者絵は、世界各地に数千枚規模で拡散して存在しており、正確な年代考証や作品研究が進んでおらず、これが天明期歌舞伎研究の足枷となっていた。これした状況を受け、研究1勝川派役者絵の研究環境整備、研究2勝川派役者絵作品調査における作品考証と分析、研究3勝川派役者絵と歌舞伎興行の関係、研究4天明歌舞伎研究の4つの研究課題に取り組んできた。 研究の基盤となる研究1では、昨年度に引き続き国内外諸機関でデジタルアーカイブ調査と、図録や販売目録などの画像と解説を収集により資料の充実が図られた。今年度は浮世絵版画のみならず肉筆画の収集にも力を入れ、勝川派役者絵研究を深める基盤を築くことができた。基盤の充実に伴い、研究2も深化し、勝川派絵師達の個人研究が整えられつつある。勝川春常については既に次年度の発表機会が得られており、勝川春章、勝川春好、勝川春英といった勝川派の主要絵師についても十分発表できる基盤ができている。また研究3、4については、昨年度に引き続き役者評判記や、絵本番付、辻番付などの資料を中心に情報の収集・蓄積を、分析と並行して実施した。デジタル技術を積極的に用いることで、形態素解析や計量テキスト分析といった新たな研究手法の提案や、役者絵と同じようにデータベース上で自由自在に並び替えや抽出を行える環境を用意できた。 2023年度は、研究環境の整備、資料収集、分析、新たな研究手法の提案など、様々な活動に取り組むことができた。次年度は、今年度の研究内容で未発表の内容を整え発表の機会を捉えるとともに、研究内容を更に深めていく所存である。また、文理融合型研究や国際的な研究交流を更に積極的に進め、スキルの向上と研究視野の拡大をも目指したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究では、積極的な発表活動が特筆される。数年にわたる研究成果だけでなく、デジタルヒューマニティーズ型研究や新手法の構築など多岐にわたるテーマに取り組み、情報理工研究者との共同研究も報告の機会を得た。 また、勝川派役者絵の研究環境整備や作品調査、歌舞伎興行との関係についての研究も進展した。まず、昨年度に引き続きデジタルアーカイブの構築や研究内容の充実が図られた。巨大な浮世絵コレクションの全作品デジタル化が実施されるなど、学界への貢献も期待される成果があった。さらに、今年度は浮世絵の収集やデータ蓄積において人的資源の活用方法を検討する機会も得た。この経験は今後の大規模プロジェクト運用において糧となる。次に勝川派の調査では絵師の個別研究が進み、次年度の発表準備も整った。さらに歌舞伎側の視点を重視した研究では、役者評判記や、絵本番付、辻番付などの資料を中心に情報の収集・蓄積を、分析と並行して実施した。デジタル技術を積極的に用いることで、形態素解析や計量テキスト分析といった新たな研究手法の提案や、役者絵と同じようにデータベース上で自由自在に並び替えや抽出を行える環境を用意できた。 また、デジタルヒューマニティーズ型研究とグローバルな展開力の向上も目指し、デジタルアーカイブ活動や文理融合型の共同研究への参加、英語でのデジタルヒューマニティーズ型研究についての発表を通じて知見とスキルを深めた。海外での研究交流もあり、国際的な研究動向に触れ、今後の発信の具体的なイメージを得た。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度には、研究環境の整備、資料収集、分析、新たな研究手法の提案など、多岐にわたる活動に着手した。2024年度には、これまでの資料や情報の蓄積を整理し、研究を総括する方向へと展開します。また、2023年度の研究内容に加えて未発表のものを含め、内容を整理し、積極的に発表の機会を捉える。具体的には、以下の点に焦点を当てます。 まず、継続しているデジタルアーカイブ活動について、今年度中に完了させる範囲を明確にし、その目標を達成するための活動を行う。次に、作品収集と考証により整備されつつある勝川派絵師たちの個別研究を確実にまとめ上げ、連続的に発表していく。最後に、歌舞伎側の視点を重視した研究内容を深化させ、これまで蓄積してきた内容を有効に組み合わせながら研究を展開する。特に、役柄・演目・演出・役者などのテーマ毎に論文執筆のシリーズ化が可能となる見通しもあるため、この方法論を確立し、検討点を絞って取り組むことで天明歌舞伎研究に繋げると共に、発表の機会も見据える。 これらの活動と並行して、文理融合型研究や国際的な研究交流をさらに積極的に推進し、スキルの向上と研究視野の拡大を目指す。
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