研究課題/領域番号 |
22KJ3061
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補助金の研究課題番号 |
22J00425 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
八木 宏樹 甲南大学, 自然科学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 溢泌 / 排水組織 / シロイヌナズナ / 物質分泌 / オミクス解析 |
研究開始時の研究の概要 |
維管束植物は,葉の先端に位置する排水組織から液体を排出する.この液体には種々のタンパク質や二次代謝物が含まれることが知られている.しかし,それらの物質を体外に排出する生理学的な意義やメカニズムはほとんど解明されていない.シロイヌナズナの排水組織は,直径100マイクロメートル程度の非常に微小な組織である.これまでに排水組織の単離法を確立し,RNA-seqによって排水組織特異的に発現する遺伝子群を同定した.本研究では,これらの遺伝子群に着目し,排水組織における物質分泌がどのように制御され,何のために行われているかを解明することを目指す.
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研究実績の概要 |
維管束植物は排水組織から液体 (溢泌液と呼ぶ) を排出する.溢泌液には種々のタンパク質や二次代謝物が含まれることが知られている一方で,それらの物質を体外に排出する生理学的な意義やメカニズムはほとんど解明されていない.本研究ではシロイヌナズナの排水組織が有す溢泌液の成分調整機構を理解することを目的としている.前年度までに溢泌液のプロテオーム解析およびイオノーム解析による,シロイヌナズナ溢泌液の成分プロファイリングを実施してきた.2023年度は特に生体イオンに着目したイオノーム解析および,排水組織の詳細な形態観察を実施した. 排水組織ではいくつかのトランスポーター遺伝子が特徴的な発現を示す.これらのトランスポーターが溢泌液中の生体分子成分の濃度調整に関与していると予想される.本解析では昨年度に引き続き,誘導結合プラズマ質量分析 (ICP-MS) による,溢泌液のイオノーム解析を実施した.その結果,植物体に与えた栄養量に応じて溢泌液イオノームが変化することが分かった.また,野生型と比較して,溢泌液中の金属元素濃度が低下する変異体を数系統見出した.これらの原因遺伝子は溢泌液成分の調整を担うものと想定される. 溢泌液の成分調整を行う排水組織および細胞の形態的同定のため,X線CTスキャンおよび光学顕微鏡による組織観察を実施した.排水組織内部は小さな細胞が,葉肉組織よりも密な構造をとっていた.さらにその細胞もいくつかの細胞種に区別できるような形態をもつことが分かった.すなわち排水組織は単一な細胞集団によるものではないと示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は溢泌液についてのイオノーム解析から,イオノームが変化する変異体を獲得することができた.本発見は溢泌について分子遺伝学的にアプローチした研究例の少ない重大な成果である.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究から溢泌液中のイオン濃度やプロテオームを制御する遺伝子の候補がいくつか発見された.今後はその遺伝子の変異体植物を利用した生理学的解析を進め,国際誌への論文発表を行う予定である.
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