研究課題/領域番号 |
22KJ3069
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補助金の研究課題番号 |
21J40212 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
吉開 会美 徳島文理大学, 薬学部, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 骨格筋 / 亜鉛トランスポーター / 亜鉛シグナル / 筋形成 |
研究開始時の研究の概要 |
骨格筋は体内総亜鉛量の60%を保有するが、骨格筋の形成と機能における亜鉛シグナルの意義は十分に解明されていない。近年、老化に伴い生体の亜鉛量が減少することが判明し、加齢性疾患と亜鉛の関係が注目されている。一方、サルコペニア、ロコモティブ症候群、がん悪液質等の骨格筋に関する疾患には根治療法がなく、有効な治療法の開発が求められている。 亜鉛シグナルは治療標的としてほとんど研究されていないため、骨格筋の恒常性について亜鉛シグナルの観点から異分野融合的に研究することによって、関連疾患の病態メカニズムに新たな理解をもたらし、新しい治療方法の開発に貢献できるものと考えている。
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研究実績の概要 |
本申請課題では、骨格筋における亜鉛シグナルの役割と筋疾患との関連を解明する。骨格筋は体内総亜鉛の60%を保有し、生体の運動機能を担う主要な組織だが、骨格筋における亜鉛の役割については不明である。本申請課題では骨格筋の形成や機能における亜鉛の役割を、骨格筋関連疾患の原因遺伝子である亜鉛トランスポーターZIP13およびZIP14をモデル分子として、骨格筋形成におけるZIP13および骨格筋萎縮におけるZIP14の役割と機序の解明、さらに亜鉛シグナルを標的とする治療戦略の構築を目指す。 初めに、骨格筋形成におけるZIP13の役割を解明するために、in vitro解析として、Zip13遺伝子をノックダウンしたC2C12細胞株を用いて、RNA-sequence法を適用し、ZIP13の発現変動によって変化する遺伝子群の同定を行なった。 次に、骨格筋におけるZIP13の役割を解明するためにin vivo解析を行なった。Zip13プロモーターの下流にGFPをノックイン(KI)したZip13-GFP-KIマウスを用いて、特定の細胞においてZIP13が発現していることを明らかにした。さらに、骨格筋の分化過程におけるZIP13発現細胞の役割とその運命系譜を調べるために、上記Zip13-GFP-KIマウスとレポーターマウスであるRosa-26/Tomatoマウスを掛け合わせてZip13-GFP-Tomatoマウスを作製した。タモキシフェンを投与することによってCreリコンビナーゼが活性化し、LoxPで挟まれたストップコドン配列が切り出されると、GFPを発現する細胞、かつGFPを発現していた細胞にTomatoが発現する。Zip13-GFP-Tomatoマウスを用いて、特定の細胞の細胞系譜を追うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ZIP13の発現変化による筋分化過程への影響を遺伝子レベルで解析し、ZIP13と筋分化との関係を繋ぐ遺伝子群を同定することを目的とした。 Zip13プロモーター下流にGFPをノックインしたマウス(Zip13-KI)を用いて、当初は次年度に予定していたin vivo解析の研究計画を中心に進めた。同定した細胞に着目し、ZIP13を発現する特定の細胞の機能や運命系譜と、筋肉の障害や再生におけるZIP13の役割を解析した。また骨格筋特異的Zip13遺伝子欠損マウス(Zip13-null)を用いて、筋力等の表現型解析と、シグナル分子について発現変動を検証した。 Zip13-KIマウスを用いた実験によって、特定の細胞においてZip13が発現していることが明らかとなったため、当初研究計画になかった、Zip13遺伝子欠損マウスにGFPをノックインしたマウス(Zip13-null-KI)を作製した。作製したマウスから同定した細胞における、遺伝子発現解析を行った。 研究経費は、遺伝子増幅酵素や免疫染色用抗体など分子生物学実験、および実験動物飼育費に充当した。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に予定していた計画を主に進める。 ZIP13の亜鉛シグナルの作用点を同定するために、Zip13遺伝子をノックダウンしたZip13-KOマウスから単離した細胞を用いて、in vitro解析として以下の検討を行う。ZIP13と相互作用する細胞内タンパク質をyeast two hybrid 法およびコンディショナルプロテオミクス法により探索同定する。 また、骨格筋の萎縮に関わるZIP14の亜鉛シグナル伝達経路を構成する分子群を同定する。Zip14遺伝子の誘導発現細胞株として樹立済みであるHEK293細胞株とC2C12細胞株を解析対象サンプルとする。 また、骨格筋の萎縮過程におけるZIP14発現細胞の役割とその運命系譜について、 Zip14プロモーター下流にGFPをノックインしたZip14-GFP-KIマウスを用いて解明する。筋萎縮モデルは、ギプス固定、塩化バリウム、がん細胞萎縮によるがん悪液質モデルを検討中である。すでに、野生型マウスに疾患モデルを適用し、病態時の炎症 (TNFα)と筋萎縮マーカー (Atoroggin-1, MuRF1 等)の発現上昇を確認しており、Zip14-GFP-KIマウスを本モデルに適用することが可能である。継時的な筋組織の病態変化とZIP14亜鉛シグナルに関連する遺伝子群の発現変化と、GFP発現細胞の量や局在、さらに運命系譜を解析することで、ZIP14亜鉛シグナルが病態メカニズムのどの段階に関与するのかを検討する。 研究経費は、分子生物学や免疫化学実験試薬、実験動物関連費および学会報告経費、論文投稿 関連費に充当する。遺伝子解析等に用いる機器は受け入れ施設が現有しており利用可能である 。
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