研究課題/領域番号 |
22KJ3086
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補助金の研究課題番号 |
22J21762 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
須田 晃治郎 沖縄科学技術大学院大学, 科学技術研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2024年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2023年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2022年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | カルシウム / ミトコンドリア / 小胞体 / オルガネラ膜接触 / 細胞死 / 細胞老化 |
研究開始時の研究の概要 |
Ca2+は細胞内シグナル伝達の要となる分子であり、細胞質のCa2+濃度は細胞外の1万分の1程度に抑えられている。しかし、細胞膜の損傷やCa2+チャネルの開口等により、Ca2+が継続的に細胞内に流入すると、細胞老化・細胞死等に至る。小胞体とミトコンドリアは細胞質Ca2+の恒常性を保つため、細胞質に流入した過剰なCa2+を取り込む役割を果たしている。本研究では、細胞質内へのCa2+流入に際した、小胞体-ミトコンドリア連携の変化を可視化し、その制御分子を同定する。同定した制御分子がCa2+流入を起点とする細胞老化に与える影響を検討し、Ca2+流入依存的な細胞老化誘導の分子基盤の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
細胞内への過剰なCa2+流入は、細胞老化や細胞死の原因の一つである。本研究では、Ca2+流入を引き起こす刺激として細胞膜損傷に着目し、様々な細胞膜損傷刺激が細胞老化を引き起こす可能性について検討した。その結果、界面活性剤、シリカビーズ、膜孔形成毒素によって亜致死レベルの細胞膜損傷を与えると、細胞老化が誘導されることが明らかになった。さらに、細胞質Ca2+キレーターであるBAPTA-AMを用いて、細胞内へ過剰に流入したCa2+の影響を緩和したところ、細胞膜損傷による細胞老化が部分的に抑制された。このことから、細胞膜損傷はCa2+依存的および非依存的な経路を介して細胞老化を誘導することが示唆された。以上の結果は、細胞膜損傷が細胞老化を引き起こすことを初めて報告するものであり、特に皮膚細胞などにおける、細胞老化の発生原因の解明に寄与する可能性がある。 また、小胞体とミトコンドリアは、細胞質Ca2+の恒常性を維持するため、細胞質に流入した過剰なCa2+を取り込む役割を果たしている。 2022年度の研究により、細胞内へのCa2+流入に伴う小胞体-ミトコンドリアコンタクトサイトの形成とCa2+輸送が細胞の生存に必要であることが示唆されていた。また、質量分析によるスクリーニングにより、この連携を制御する候補分子が同定されていた。 2023年度は、候補タンパク質11個の解析を行った。そのうちの一つはミトコンドリア上にドット状に局在しており、小胞体とミトコンドリアが重なる部位と共局在することが明らかとなった。この遺伝子をノックダウンすると、Ca2+流入後のミトコンドリアCa2+レベルの上昇が抑制され、細胞質Ca2+レベルが顕著に上昇し、細胞の生存が抑制された。以上より、このタンパク質はCa2+流入に応答した小胞体-ミトコンドリアCa2+輸送と細胞の生存を制御する新たな因子であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画であった「Ca2+流入依存的な小胞体-ミトコンドリア連携の制御分子の探索」について、スクリーニングが完了し、候補分子の機能解析が順調に進んでいるため、本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、細胞内へのCa2+流入を起点とする小胞体-ミトコンドリアCa2+輸送機構のさらなる詳細なメカニズムや、小胞体-ミトコンドリアコンタクトサイトの破綻が細胞の生存を制御する機構を明らかにする予定である。
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