研究課題/領域番号 |
22KJ3088
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補助金の研究課題番号 |
22J40168 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
永塚 尚子 (2023) 国立極地研究所, 先端研究推進系気水圏研究グループ, 特別研究員(RPD)
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特別研究員 |
永塚 尚子 (2022) 国立極地研究所, 先端研究推進系気水圏研究グループ, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 氷河上の暗色不純物 / クリオコナイト / シアノバクテリア / 鉱物粒子 / グリーンランド / 氷河上不純物 / SEM-EDS / アルベド |
研究開始時の研究の概要 |
北極域の氷河・氷床の質量損失に影響を与える要因として氷表面に沈着する鉱物ダストの存在がある.鉱物ダストは氷河上の藻類の栄養塩源として利用され,その微生物活動によって形成される暗色不純物(クリオコナイト)の生成量や表面アルベドの低下に寄与している可能性がある.従来クリオコナイト量が少ないとされてきた北極域の氷河においても近年急速に暗色化が進んでいる.本研究では,鉱物ダストの暗色化への寄与を正しく評価するために,グリーンランドの氷河暗色域に供給される鉱物の起源を明らかにすると共に,その物理化学特性が雪氷藻類の有機物生産へ及ぼす影響評価を目指す.
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研究実績の概要 |
2022年度に引き続き、走査型電子顕微鏡(SEM)、およびエネルギー分散型X線分析検出器(EDS)を用いて、グリーンランド北西部と南西部の氷河上暗色不純物(クリオコナイト)に含まれる鉱物の形態および組成を調べた。クリオコナイトの形成者であるシアノバクテリアは、バイオフィルムと呼ばれる粘着性の物質によって自身の周囲に鉱物粒子や有機物を絡ませながら、クリオコナイトを成長させていると考えられている。また、それらの鉱物に含まれる栄養塩を繁殖に利用している可能性もある。 観察の結果、2つの氷河のクリオコナイトに優占するシアノバクテリアの種が異なり、北西部ではフォルミデスミス、南西部ではそれよりもサイズが大きいカルソリックスが多く含まれることがわかった。また、シアノバクテリアに付着した鉱物はどちらの氷河においても2μm以下のものがほとんどで、それらはケイ酸塩鉱物であった。しかし、その組成は両氷河で大きく異なった。北西部ではK, Mg, Feを含む雲母と緑泥石がクリオコナイト中の鉱物の9割を占めるのに対し、南西部はMg, Ca, Feを含む角閃石の割合が多かった。これは各氷河の周辺地質の組成に近く、その影響を受けている可能性がある。しかしながら、南西部の氷河にはフォルミデスミスも2割ほど含まれていたため、シアノバクテリアの種別に鉱物組成を分けてみると、フォルミデスミスに付着する鉱物はカルソリックスに比べて角栓石の割合が少なく、北西部同様、雲母と緑泥石の割合が多いことがわかった。つまり、クリオコナイトの鉱物組成には周辺地質が影響していて、それによって各氷河に優占するシアノバクテリアの種が異なる可能性があることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、総合地球環境学研究所(京都)のICP質量分析計を用いてクリオコナイトおよび起源物質中の鉱物に含まれる両元素の定量を行い、各起源から暗色域に供給される鉱物粒子の割合を評価する予定であったが、並行する科研費プロジェクトとの兼ね合いで長期出張を行うことができず、分析を進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、遅れている起源物質のSrとNdの濃度分析に加えて、X線回折解析装置を用いた組成分析,走査型電子顕微鏡による形態観察を合わせて行うことで,暗色域への鉱物供給割合についてのより詳細な推定を目指す。さらに、各起源から暗色域への鉱物ダスト流出入フラックスを算出する。氷体内ダストの流入フラックスについては暗色域における氷河表面融解量から、大気中から供給される風送ダストの流入フラックスについては、エアロゾル 輸送モデルから算出する.モデル計算については、申請者が2024年度から着任した海洋研究開発機構の研究者や、国立極地研究所、気象研究所の研究者に協力を得ながら行う。さらに、氷河の融解水流出量から,これらのダストの流出フラックスを計算して暗色域の鉱物ダスト収支を明らかにする.融解水流出量については,北海道大学のチームが2017年から継続して現地で計測を行っていることから,こちらのデータを引用する。
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