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巨大交尾器における雌雄共進化の根底にある原因遺伝基盤の探索

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ3101
補助金の研究課題番号 22J01073 (2022)
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金 (2023)
補助金 (2022)
応募区分国内
審査区分 小区分45020:進化生物学関連
研究機関基礎生物学研究所

研究代表者

野村 翔太  基礎生物学研究所, 進化発生研究部門, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワード交尾器 / オサムシ / RNA-seq / RNAi / 雌雄間比較 / 巨大 / 種分化 / 性選択 / 進化生態学 / 組織切片
研究開始時の研究の概要

種分化をもたらす形質がどのような過程を経て進化したのかを解明することは、進化生態学上重要な課題である。本研究ではオオオサムシ亜属のドウキョウオサムシにおいて、接合前生殖隔離をもたらす雌雄の巨大交尾器に着目する。雌雄の巨大交尾器の原因遺伝基盤を探索することで、雌雄交尾器がどのような共進化過程を辿ったのかを考察する。

研究実績の概要

種分化をもたらす形質がどのような過程を経て進化したのかを解明することは、進化生態学上重要な課題である。本研究ではオオオサムシ亜属のドウキョウオサムシにおいて、接合前生殖隔離をもたらす雌雄の巨大交尾器に着目する。研究代表者のこれまでの研究では、巨大交尾器をもつドウキョウオサムシと近縁種について、交尾器の形成過程において遺伝子の発現量を比較することで、雌雄の交尾器巨大化に関わる遺伝子群の発現パターンを特定した。その結果、雌雄で類似した遺伝子発現の変化が雌雄交尾器の巨大化に関わった可能性があるという仮説が立てられた。
昨年度までの研究で、種間で遺伝子発現が変化していた遺伝子についてRNAi法を用いたノックダウン実験を行ったところ、巨大な交尾器を持つドウキョウオサムシにおいて、雌雄両方の交尾器サイズが顕著に減少する遺伝子が確認できた。この結果から雌雄で同じ遺伝子が雌雄両方の交尾器の巨大化に関わることが明らかになった。
本年度はノックダウンの影響で発現量が変化した遺伝子群を雌雄で比較することで、巨大化に関わる遺伝子は雌雄でどの程度同じなのか、どのような遺伝子群が雌雄で同じ発現調節を受けることで雌雄の交尾器巨大化に関わるのかを明らかにするために、ノックダウン実験を行った個体の発現量をRNA-seqを用いて調べた。その結果、複数の遺伝子の発現量がノックダウンにより変化していること、またノックダウンを行った遺伝子は発現量が1/8~1/10程度に低下していることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は昨年度の結果を踏まえ、Larval RNAi法を用いてノックダウンを行った結果交尾器サイズが顕著に減少した遺伝子について、ノックダウンの影響で発現変動した遺伝子群を雌雄で比較することで、巨大化に関わる遺伝子は雌雄でどの程度同じなのか、どのような遺伝子群が雌雄で同じ発現調節を受けることで雌雄の交尾器巨大化に関わるのかを明らかにしようとした。昨年度確認できた交尾器サイズが減少する遺伝子、及びコントロールのeGFPをインジェクションしたサンプルの確保を行った。サンプリングは交尾器が巨大なドウキョウオサムシと近縁種のマヤサンオサムシの2種の雌雄両方について行った。このサンプルのうち、金銭面の都合からコントロールのeGFPと雌雄両方の交尾器サイズが顕著に減少する遺伝子のみをRNA-seqを用いて発現データを得ることができた。これらのサンプルの解析からRNAiを行った遺伝子の発現量は1/8~1/10程度に減少していること、RNAiを行った遺伝子以外の遺伝子群もその影響を受け発現量が変化していることが明らかになった。さらなる解析を行うことで発現量を雌雄で比較し、巨大化に関わる遺伝子は雌雄でどの程度同じなのか、どのような遺伝子群が雌雄で同じ発現調節を受けることで雌雄の交尾器巨大化に関わるのかをよりはっきりさせる。
また、昨年度は巨大交尾器の形成過程を仔細に観察するための、交尾器組織の切片作成方法の確立も行った。本年度は確立した方法を用いて巨大交尾器の形成過程を観察するために、経時的なサンプルの確保を行った。
本年度は、当初の予定どおり交尾器の巨大なドウキョウオサムシと近縁種のマヤサンオサムシについて、発現量比較を行うためのサンプル確保に成功した。また一部サンプルについては発現量データを得ることができた。したがって、研究はおおむね順調に進展していると評価できる。

今後の研究の推進方策

本年度の研究成果により、交尾器の巨大なドウキョウオサムシと近縁種のマヤサンオサムシについて、発現量比較を行うためのサンプルの確保を行った。また、発現量解析によりRNAiを行った遺伝子やほかの遺伝子群が予想通り発現変化していることが明らかになった。来年度はさらなる解析を行うことで発現量を雌雄で比較し、巨大化に関わる遺伝子は雌雄でどの程度同じなのか、どのような遺伝子群が雌雄で同じ発現調節を受けることで雌雄の交尾器巨大化に関わるのかをよりはっきりさせる。
また、現在のデータのみではどのような遺伝的変異がどのような遺伝子に直接寄与することで交尾器サイズの種間差を生み出しているのか不明である。来年度は全ゲノムデータを得て、種間における遺伝的な変異を明らかにし、発現量解析データと組み合わせることで巨大交尾器の進化に直接かかわったと考えられる遺伝子を特定する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] A key evolutionary step determining osmoregulatory ability for freshwater colonisation in early life stages of fish2023

    • 著者名/発表者名
      Oto Yumeki、Kuroki Mari、Iida Midori、Ito Ryosuke、Nomura Shota、Watanabe Katsutoshi
    • 雑誌名

      Journal of Experimental Biology

      巻: 226 号: 21

    • DOI

      10.1242/jeb.246110

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Evolutionary changes in gene expression profiles associated with the coevolution of male and female genital parts among closely related ground beetle species2022

    • 著者名/発表者名
      Shota Nomura,Teiji Sota
    • 雑誌名

      BMC Genomics

      巻: 23 号: 1 ページ: 637-637

    • DOI

      10.1186/s12864-022-08865-2

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] オオオサムシ亜属における同じ遺伝子を介した雌雄交尾器の巨大共進化2023

    • 著者名/発表者名
      野村翔太、曽田貞滋、新美輝幸
    • 学会等名
      日本進化学会第25回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-28   更新日: 2024-12-25  

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