研究課題/領域番号 |
22KJ3107
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補助金の研究課題番号 |
21J00958 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
澤田 明 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物多様性領域, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 近親交配 / 個体群動態 / 絶滅 / 個体群 / 一塩基多型 / ゲノム / 島 / リュウキュウコノハズク |
研究開始時の研究の概要 |
近親交配回避は近親交配による悪影響を免れることで絶滅リスクを減らすとされるが、血縁者を避ける行動がつがい形成効率を下げ、絶滅リスクを上げる可能性は見過ごされてきた。本研究の目的は、近親交配回避が個体群動態にもたらす影響を解明すること、その影響の個体群間での違いと、その影響の原因遺伝子をゲノム情報から解明することである。すでに近親交配回避を行っていることが示されているリュウキュウコノハズクを研究材料に用いる。本種の3つの島の個体群(南大東島、波照間島、沖縄島)について繁殖調査と標識再捕獲調査、およびゲノム上の一塩基多型(SNP)の決定を行い、それらの全データをもとにした個体群動態解析を実施する。
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研究実績の概要 |
南大東島で野外調査を実施した。109つがいの巣から、産卵日、卵数、巣立ちヒナ数などの繁殖成績に関わるデータを取得した。新規に約300個体を標識した。波照間島でも野外調査を実施した。個体群全体を対象とした個体数調査と捕獲調査を実施し、新規に約130個体を標識した。繁殖成績に関わるデータとして巣立ち後のヒナのセンサスも実施した。波照間島の個体群の基礎情報として、個体群サイズと性比を推定した結果はOrnithological Science誌21巻2号に掲載された。個体群サイズは155個体と小さく、性比(全体に占めるオスの割合)は63%と大きくオス側に偏っていることが明らかになった。小さな個体群では近親交配が起きやすくなるため、定量的に個体数の情報を得られたことは、波照間島個体群で近親交配の研究を行なう上での重要な基礎となった。沖縄島での野外調査では想定よりも巣箱利用率が低かったり、捕食被害が多かったりしたことで、得られたデータは少なくなった。 野外調査の終了後、近交弱勢の原因遺伝子を探るための最も基礎となる全ゲノム情報の取得を行った。南大東島のリュウキュウコノハズク24個体のゲノムDNAを抽出し、それを全ゲノム解析の対象とした。抽出したDNAより作成したゲノムライブラリーをIllumina HiSeq X Tenで解析し、全ゲノム解読を行った。得られたデータでゲノムの新規構築(De novo assembly)を実施した。得られたゲノム情報を、遺伝子領域を予測するプログラムAugustusと、任意の塩基配列を既知の塩基配列と比較するプログラムBLASTにかけることで、リュウキュウコノハズクのゲノム上の遺伝子を予測した。これらの解析により、その後の解析でそれぞれの個体が保有する遺伝子変異を特定するためのレファレンスゲノムを得ることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
野外調査については当初の計画通り進んだものの、ゲノム解析については新型コロナウイルス感染症の影響で遺伝子解析結果の納品遅延が生じて進捗が遅れたため、おおむね順調な進展となった。
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今後の研究の推進方策 |
野外調査については計画通りに進めていく。ゲノム解析については、最終的な研究目的は変わらないものの、解析方法を当初の計画から変更する。当初の計画ではRAD-seqを用いてゲノム上の一部の遺伝子変異を抽出するという解析を、無作為に選んだ多数の個体に適用することで、近交弱勢に関わる遺伝子変異を探索する予定であった。しかし、この解析を行なうのに必要な量のDNAを多数の個体について確保することが難しいことが判明した。そこで、全ゲノム解読を、子の生存率の善し悪しに関わる基準で選んだ少数の個体について実施して、そのゲノムの比較により近交弱勢に関わる遺伝子変異を探索するという予定に変更する。すなわち、前向き研究から後向き研究の変更である。近交弱勢に関わる遺伝子変異は、その有害な効果が小さいことが予想されるため、特定の個体に絞って解析する後ろ向き研究のアプローチは、当初計画よりも効率よく近交弱勢に関わる遺伝子変異の特定を行なえることも期待される。
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